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予算特別委員会

第312回兵庫県議会

 
 
 
上野県議の予算特別委員会の質疑の詳細は下記の通りです。

 

 総 括 質 問

  

1 選択と集中による県政の推進について

 

(1)施策の「選択と集中」と財源対策について

 

(2)但馬空港の見直しに向けた議論について

 

2 命をまもる県政の推進について

 

(1)自殺抑制対策の一層の推進について

 

(2)動物愛護に向けた適切な取り組みについて

 

3 地域における多文化共生社会の実現について

 

4 消費者サイドの視点に立ったひょうご農林水産ビジョン2020の推進について

 

5 総合的な治水対策の全県展開について

 

6 自転車事故の防止と安全・安心対策の推進について

 

 1 選択と集中による県政の推進について

(1) 施策の「選択と集中」と財源対策について

 

24年度予算案を新聞社は「にじむ苦心の井戸色」と評していますが、厳しい財政状況の中で、21世紀長期ビジョンのもと、少子高齢社会福祉ビジョン、ひょうご経済・雇用活性化プログラム、ひょうご農林水産ビジョン2020など各分野の推進施策を展開され、さらに東海・東南海・南海地震等への備え、総合的な治水対策の推進や災害に強い森づくりなど防災・減災対策を盛り込んだまさしく「にじむ苦心の労作」と私も考えています。

知事は、今県議会等においても、第2次行革プランの着実な推進を基本に「選択と集中」を徹底し、県民ニーズに的確に応える施策を重点的に展開するとともに、行財政全般にわたる改革の推進をゼロベースから行った旨述べておられました。
一般会計の予算規模が、前年度の94.7%、1,125億円下回る2兆160億円の規模となり、事務事業も新規事業との差し引きで132事業減とした、まさに「スクラップ・スクラップ&ビルド」予算であるということが伺えます。

知事の説明によりますと、中小企業融資貸付金の23年度分が計画よりも減少したことと、公社等貸付金を自前で公社債を調達してもらうことにより、中小企業制度融資貸付金が対前年度比501億円の減、公社等貸付金が対前年度比351億円の減となったことが大きく、さらに定員の削減や給与の見直し、退職手当の減などにより人件費は対前年度比156億円の減等々によるとされています。

また、県税と地方交付税などを合わせた歳入の一般財源総額は前年度から17億円増加する一方、公債費や社会保障関係費の増に伴って収支不足額がなお780億円に至っていることに対しては、退職手当債や行革推進債の発行と県債管理基金の活用で対応を図る一方、県債発行の平準化のため借換債の発行、これはその借換え全体は変えないにしても23~26年度間において従来の借換え率を大きく変更するなど、県債の償還・管理面においても、財政運営の(老獪)テクニックを駆使されて乗切ろうとされています。

一方、次世代に負担を残す県債に関しては、前年度を26億円下回る1,401億円の計上に止まったものの、県債残高は臨時財政対策債分のウェイトが大きいとはいえ、過去最高の3兆8,923億円となっています。

財政状況審査の際に我が会派の山本委員の質問によって明らかにされたように、県債残高に対する金融機関への利子負担見込みが年間約811億円超に及んでいる状況は、今後の市場金利の動向によってリスク管理が厳しくなることも予想され、(山本委員の伊丹市の予算規模は660億円で、またその後の新聞報道では、加古川市の一般会計予算規模に匹敵するとのことです。)やはり適切な対応が必要と考えます。

そこで、平成24年度予算編成にあたり、どのような基準で施策・事業の「選択と集中」を行われ、その結果としてどの程度の財政効果を見込まれたのか、併せて、起債に出来るだけ頼らない財源確保の必要性をどのように認識しておられ、どのように取り組もうとされるのか知事の所見を伺います

  

答弁:知事

 24年度の予算編成でございますけれども、基本的にゼロベースで編成作業を始めたところでございますが、視点としてはやはり、事業そのものの効果ですとか役割といったものを検証していくことと併せまして、市町や民間との役割分担や、あるいは負担の適正化や、受益と負担の関係なども基本に遡って検討いたしました。

これは、県税と交付税を足した一般財源がほぼ横ばいでありますのに対して、福祉関係費を中心とする自然増が150億円見込まれるというような状況の中での予算編成を強いられたので、歳出の見直しというものが欠かせないと考えたからでございます。

その結果、220事業を廃止することにいたしました。一方で80事業を「スクラップ&ビルド」したわけであります。上野委員からも「スクラップ、スクラップ&ビルド」と称していただきましたが、それほど見直さざるを得なかった状況があります。

ただ、厳しいからといって県民ニーズに応えない予算は予算ではないと私自身思っております。

そのような意味で、当面の課題への対応と、それから今後の人口減少社会下で必要とされる施策の「芽」は出したい、という思いで施策の選択と集中を図らせていただきました。

当面の課題につきましては、東海・東南海・南海地震対策や風水害など防災対策などは当然でありますし、あるいは少子高齢化対策、特に子育て支援や高齢者・女性雇用対策など、これらは両面、つまり「芽」でもあったと考えております。

それから県内の企業の海外との関連を支援することなどは当面の対策であろうかと思いますし、農業のブランド化だとか、担い手対策は今後の施策にもつながります。

それから基本的な課題としての地域格差解消のための地域再生大作戦、これは今の課題でもあり得るし、これからの課題でもある。そのような意味で、対応を図ってきたつもりであございます。

併せましてご指摘もいただきましたように、前年フレームの見込みよりは50億ほど縮減したんでありますが、収支格差がまだ780億ほど残ってしまいました。これは計画的に解消を図っていく必要がありますが、歳出はかなりギリギリに来ておりますので、どう歳入増を図っていくかということが懸案になるわけでございますが、平成26年度までは財政再建期間と国がしておりますので、一般財源は横ばいにしか推移しないのではないか、税が伸びたとしても交付税が減らされるという形で、横ばいにしか推移しないのではないか。となるとやはり抜本的な構造改革をしようとすると、社会保障と税の一体改革は不可欠な状況に、本県においてもなっているなと、こんな風に思っているところでございます。

それとご指摘のように県債依存度を下げていかないと、財政構造はよくなりません。

一方で交付税の身代わり財源であります臨時財政対策債は増えてきているわけでありますが、これは原委員にもお答えしましたように、国の責任だということにさせていただいたとすると、我々がコントロールできる通常債やいわゆる行革債や退職手当債などの財源対策のための起債、これを抑制していかなきゃいけないと思っております。それが第2次行革プランの基本テーマでございます。

4兆円ほど県債残高がありますので、1%で400億、2%だと800億の利払い費が課されます。

ですから今後の世界的な金融状況がどう変わっていくかによって、大変大きな影響を受けかねません。

これが実を言いますと、日本国政府の場合は1,000兆円ですので、1%でも10兆円になりますから、大変な金額になります。そのような意味で金融状況の変化も見逃せませんが、しばらくは色々な方々も一気に急騰することはないのではないか、というふうにみられております。

しかし、その間にできるだけ体質をよくしていく、そのような努力を重ねてまいりたい、このように考えているところでございます。

いずれにしましても、基本的な政策方針あるいは個別の事業方針なども県議会からいただいておりますので、そのような点も十分踏まえながら、今後も対応させていただきます。

 

(2) 但馬空港の見直しに向けた議論について

これまで、財政収支見込・フレームを巡り、とりわけ経済成長率や税収の見込みが甘いのではないか、あるいは国による緊急経済雇用対策や人事院勧告、医療費報酬改定等々の条件変更などによるフレームの対応をその都度各議員が説明を求めてきました。

それらを聞いておりまして今私が思っていますことは、いかにフレームの前提条件が変わろうと平成30年度には実質公債費比率18%水準、将来負担比率(震災影響を除く)250%水準、県債管理基金積立不足率 平成19年度の2/3水準等々の財政運営の目標は、確実に達成するとの当局の強い自信を感じています。

ならば、増え続ける社会保障関係費などの行政需要を行う財源をいかに確保するのかということです。一つには、定員削減(3割)による総額人件費の削減、これは3年間で既に15%の達成、二つに消耗品や印刷費などの事務費の見直し、これらも多くが既に見直されたと考えます。残るは事業において知事のおっしゃるスクラップ・スクラップ&ビルドです。

県土整備部の部局審査の際に我が会派の岸口委員が言いましたが、本当に但馬空港は但馬地域の振興においてその役目を果たしているかどうかということです。

但馬地域の振興を考えたときに、城崎温泉、湯村温泉をはじめとする温泉、山陰ジオパーク、とりわけ香住海岸は素晴らしいものだと思います。カニや但馬ビーフ、スキー場等々素晴らしい観光資源を持っています。その観光資源を活用、観光客に堪能してもらいゆっくりと泊ってもらうためには車のドライブ、汽車、あるいは自転車等の旅があるかと思います。

但馬空港には、空港管理費、運航対策費、空港公園維持修繕費併せて4億7千万円が投じられ、但馬空港推進協議会の運賃補助も入れれば莫大な金額と言えます

一度真剣に但馬空港のあり方と方向性について検討する委員会設置が必要な時期に来ているのではないかと考えますがご所見をお伺いします。

 

 

答弁:知事

 但馬空港はちょっと中途半端なんです。なぜかと言いますと、滑走路が1,200mしかありません。従いまして、例えばバス1台分のお客様を乗せますともう一杯で、他の利用者があっても乗れないという状況であります。せめて1,500mありますとジェット機が離発着出来ますので、かなりの容量のお客様を運べるということになります。そのような意味で、大変苦戦を強いられている、それが委員ご指摘のような状況になっているのではないかと思います。ただ、一方で東京と2時間半で結んでおります。神戸から車で行きますと、現在、豊岡まで2時間半かかります。それが但馬空港が有るが故に、大阪空港で乗り 継いで東京に2時間半で行ける、こういう時間短縮の効果も随分あるわけです。

昨年12月に実施しました利用実態調査によりますと、利用者のうち約7割が、関東、関西など但馬以外の地域から、兵庫県以外の地域からの来訪者でございまして、そのうち約5割が但馬で宿泊しております。ですから、利用者や利用されている方々から見ると、大変便利な機能を果たしてくれているのではないかと思います。

この4月から観光客増加のために、テレビ番組「サザエさん」の冒頭のオープニング映像で、但馬空港や但馬が紹介されます。

大いにこの効果も期待をしたいと思っておりますが、まず今は羽田直行便、せっかく国は羽田にコミューター枠を1便用意してくれていますので、羽田直行便を是非飛ばしたいということで色々な検討を進めておりますが、なかなかわかったと言ってくれる航空会社がすぐには出てきていないという実情にあります。ですから、羽田直行便を是非実現したいという検討をまずさせてください。

その後に、ご指摘のように北近畿豊岡自動車道が豊岡まで延伸された時点で、時間距離が30分くらいは短くなるはずでありますので、その時点で抜本的に延長するのか、私はそうだと思いますが延長するのか、それともご指摘のようにもう役割を終えたと評価するのか、その時点で委員会等を作って抜本議論をさせて頂いたらいかがだろうか、それまでの間は、しばし努力をさせていただきたい、このように願っています。

 

 

 2 生命をまもる県政の推進について

安全・安心の基盤をつくる県政の推進にあって、何よりも大切に考えなければならないのは命を大切にする・命を守る取り組みではないでしょうか。

その施策の代表例として、今回、我が会派としては、自殺抑制対策と併せて、動物愛護に向けた取り組みを伺いたいと思います。

すなわち、人においてその命が大切なように、動物の命についてもその尊厳を守ることが大切で、人と動物とは生命的に連続した存在であり、生きとし生けるものを大切にする心構えのもと、施策に反映させることが欠かせないとの考えを基本に据えて質問に入ります。

 

(1) 自殺抑制対策の一層の推進について

昨年の決算特別委員会総括質問や今回の部局審査で我が会派の藤井委員が質

問してきましたが、「県民のいのちを守る」取り組みは「県民の安全・安心の基盤づくり」に繋げる最重要課題であるという観点から自殺対策の一層の推進に向けた質問をいたします。

ご承知のように、全国の自殺者数が平成23年に30,651人であり、平成22年版厚生労働白書によると先進7か国の中では、我が国の自殺率は最も高く、15歳から34歳までの若い世代の死因で自殺がトップなのは我が国のみです。

(部局審査でも藤井委員が申し上げましたが)本県の自殺者数は、平成9年から平成10年にかけて987人から1,452人へと約1.47倍に急増して以来、昨年まで1,300人前後で推移しています。

平成28年までの残り5年間で自殺死亡者数を1,000人以下にするという目標の達成向けて年次計画を立てたうえでいかに取り組むかが肝要です

厚生労働省の「自殺・うつ病等対策プロジェクトチーム」によれば、自殺に至るには主に4つの要因が背景にあると言われ、国の統計でも自殺の原因として健康問題、経済・生活問題、勤務問題等の割合が高くなっていることからも、自殺対策はもとより一部局の取り組みのみで完結するものではありません。

また、うつ病など、精神衛生上の対策を中心とした取り組みだけでは、目標

達成は難しいのではないかと考えられ、部局横断的な取り組みに加えて、自殺抑制を県民運動として取り組むことが必要と考えます。

部局審査の際に、藤井委員が申し上げたように、例えば、交通安全対策委員会にあっては、各種団体も構成員として参加しており、ストップ・ザ交通事故県民運動の成果もあって、交通事故の死者が平成3年の489人から平成23年の198人に減少、ピーク時である昭和44年の740人からは4分の1になっているとのことです。

こうした効果を期待すべく県民運動を進めるためには、例えば、まず県内でモデル地区を指定したうえで県民参加のもとで県民運動推進会議を開催するといった方法も考えられます。

健康福祉部局審査の際に、久保部長から年次計画を含めた対応を行う旨積極的な答弁を頂いておりましたが、自殺抑制に向けた県民運動の果たす役割を改めてご認識いただくとともに、その具体化に向けた当局の決意について伺います。

答弁:知事

 自殺対策はご指摘のように、もう個人のレベルの問題ではなくて、社会的な取組が必要だと、こういうレベルに達してしまっていると思います。

しかも、平成10年に1,300人台を記録してから、ずっと1,300人台を切っておりません。ただ去年、ようやくマイナスになりました。これは、いろんな取組の成果がひとつあったのではないか、それともうひとつは、もしかすると、東日本大震災での人と人の結びつきの大切さの認識が広がったのかなということも言えるのかもしれません。これは定着させていって、28年には1,000人を割りたい、このように基本的に考えているところでございます。

自殺対策について、医師会ですとか、弁護士会ですとか、民生委員や、マスコミ等38関係団体で、自殺対策連絡協議会を開催して、ご意見を伺ったり、また、構成団体として何ができるか、何をするかについて検討して、取り組んでもらっています。

また、地域でも、健康福祉事務所が中心となって、連絡会を設置して、連携をしているところです。市町におきましても、このような類似の組織を持って、対応を進められておられます。

特に、民生委員やケアマネージャー等を対象に、身近な地域において、悩んでいる人に気づいたり、声をかけたりする身近な相談役、ゲートキーパー(門番という言い方がいいのかよくわかりませんが)の養成にも努めています。

併せて、「いのちとこころのサポーター」という形で、ほほえみで相手の心に寄り添う、そういう役割を果たす方々の養成を行っています。これらは、広い意味での県民運動の核を作っていっているということに繋がるのではないかと思っています。

また、うつ病対策は重要です。自殺の半分以上は、うつ病から自殺に追い込まれておられますので、特定健診等でうつチェックをして、そのフォローをしていくとか、定期健診におけるメンタルケア充実していくとか、うつの方の職場復帰トレーニングやプログラムを推進するとか、これも併せて行ってまいります。

県民運動の取り上げ方としては、交通安全を例にあげられましたが、社会生活に通常起こりうる課題に対する取組としての消費者問題とか、交通安全問題とかの県民運動のあり方と、社会的に支える必要がありますけども、個人領域に深く関わっている自殺のような課題の県民運動のあり方とは、自ずと質が違うだろう、質っていうか取組の内容等が違うだろう、その辺も十分踏まえながら、どう取り組んで行ったらいいのか、久保部長も答えましたように、24年度は、自殺対策推進方策を改定する年でもありますので、連絡会議などのあり方も含めまして、県民運動手法含めて、検討してまいりたいとこのように考えております。

一方で、先程出ました、ほほ笑みプログラムですとか、あるいは、身近な相談役の養成になどに努力してまいります。うつ病対策も頑張ってまいりたいこのように考えております。それにしても、早く、なんとか1,000人を切りたい、これが我々の急策でございます。

 

(2) 動物愛護に向けた適切な取り組みについて

内閣府の調査によれば、全国の1/3の家庭で何らかのペットが飼われている現状にあり、飼い主との絆や癒しなどの面から見ても、まさに家族同然の存在といえます。

しかしながら、平成20年に全国の自治体に持ち込まれた動物の数は、犬・猫合わせて315,107頭にも昇る中で、行政処分がなされたものはこれも合わせて、287,095頭にのぼる一方で、返還・譲渡された動物の数は、42,161頭と、処分率が91パーセントにも及ぶ状況にあります。

しかしながら、部局審査の際に藤井委員が申し上げたが、熊本市動物愛護センターでは“殺処分ゼロ”の取組が行われています。

同センターは、性格の良い犬でさえ殺処分される現実に直面し、市民協働の観点から獣医師会、動物愛護団体、ペットショップや盲導犬使用者などを構成員として動物愛護推進協議会を設置し、市民協働による返還率を高める取り組みに加え、引き取ってもらえるよう、しつけ直しなどの取り組みにより劇的に殺処分数を減らした結果、平成5年度には1,794匹の犬を殺処分していたのが、平成21年度以降の生存率は9割を超えるに至りました。

本県動物愛護センターにおいて平成22年度に収容及び引き取りした犬と猫の合計頭数5,326頭のうち、殺処分となったのは約97%の5,145頭である実情と比較すれば、隔絶の差と言わざるを得ません。

平成20年3月に策定された本県の「動物愛護管理推進計画」には、「動物愛護の高揚は、人を含めた動物に対する生命尊重意識の高揚として県が取り組むべき重要課題」と位置づけられているにもかかわらず、動物愛護に関する予算いわゆる『譲渡等生命を守る対策』に関連する予算が約14百万円であるのに対して、『動物処分業務』に関わる予算は、その2倍以上の29百万円で殺処分に重点が置かれているかを物語っています。

この予算を見る限り、動物愛護推進計画の趣旨が活かされていないと断ぜざるを得ません。

こうした実情を打開し推進計画の平成25年度見直しに向け、本県においても、せめて生存率を5割に高める具体的な取り組みが必要ではないかと思います。

そのためにまずやらなければならないことは、飼い主を探すことのできる期間を熊本のように10日~2週間程度に延長したうえ、その期間内に集中的かつ広範的にケーブルテレビやウェブサイト、新聞、学校等において迷い犬・猫等の情報発信を徹底することとあわせ、その間に動物が待機しておけるよう、現在1センターあたり5~6頭に過ぎない愛護センターの保管・収容能力(キャパシティ)を熊本並みの60頭分へと大幅に拡充する取り組みが必要であります。これは現在の敷地面積でも充分可能なことと考えられます。

そこで、「動物愛護推進計画」にある生命尊重意識の高揚に向け、その実効性を上げる取り組みをどのように進めていかれるのか、当局の所見を伺います。

答弁者:久保部長

 動物の殺処分を減らすためには、一つには収容数を減少させること、二つとして返還や譲渡を増やすこと、この両面からの取り組みが非常に重要であるというふうに考えております。

収容数の減少につきましては、放浪動物による自然繁殖を抑制することが大切であるといった観点に立ちまして、一つには、犬の放し飼いの防止やねこの家屋内飼育、二つには避妊・去勢による繁殖制限、三つには命尽きるまで愛情をもって飼い続けることなど、県民への適正な飼育管理や動物愛護思想などの普及啓発を引き続き取り組んでまいりたい、このように考えています。

また、返還につきましては、飼っている犬やねこがいなくなった場合には、熊本市の取組を参考といたしまして、一つにはウェブサイトを利用した写真付きの収容動物情報の提供、二つには動物愛護センター等にすぐに問い合わせをするよう市町広報ですとか、あるいはポスター等を活用した周知を図ってまいります。三つには当面、収容した犬の公示期間、現行は2日間となっておりますけれども、これを1週間程度に延長する、こういった取組を進めてまいります。

なお、公示期間の延長に伴いまして、必要となる収容スペースの確保につきましては、本県の犬の収容実績からいたしますと、一週間程度に延ばしましても、必要な頭数は30頭程度というふうに想定されまして、現在の収容力、66犬房の範囲内で十分に対応が可能ではないかというふうに考えております。

譲渡につきましては、適正飼育の模範となっていただける方への譲渡という本県の基本的なスタンスを維持しながら、譲渡希望者の掘り起こしのために、動物愛護推進員や動物愛護管理推進協議会などと連携を図りまして、各種広報媒体を活用した県民への譲渡制度の周知ですとか、あるいは、従来の個人への譲渡だけでなく、適正飼養に理解をいただける団体への譲渡も積極的に行いまして、譲渡数の向上を図ってまいります。

以上のような取組を通じまして、生存率の向上に努めまして、引き続き人と動物が共生する社会づくりを推進してまいりたい、このように考えております。

3 地域における多文化共生社会の実現について

人口減少時代を迎え、また経済のグローバル化によって人の国際移動がさらに活発化すること等を考えると、外国人住民にかかわる課題は、近い将来において大きな社会的課題になっていくものと考えられます。

本県でも、「国際交流」を柱として地域の国際化を推進してきたが、地域社会の変化を勘案した場合には、「多文化共生」今後の大きな柱として、推し進めていくことが必要になると考えます。

総務省が2005年に設置した「多文化共生の推進に関する研究会」では、地方自治体が地域における多文化共生を推進する上での課題と今後必要な取組について、「コミュニケーション支援」、「生活支援」および「多文化共生の地域づくり」の3つの観点から検討され、検討結果として「多文化共生推進プログラム」が作成されました。

中でも、産業労働部の審査において、我が会派の山本議員が質問した医療通訳システムの導入は、地域住民の生活・命に関わる問題として、特に重視すべきと考えられます。

すなわち、外国にルーツをもつ日本語の理解が不十分な住民は、日本語を習得するまでの間、病気になっても言葉の壁により十分な医療サービスを受けられない場合も多く、特に集住地域はあまりない一方で、外国人の数は決して少なくない本県では、細かな言語的ニーズを意識した医療通訳システムを確立し、県内広域で展開していくことが求められます。

神奈川県では、2002年から医療通訳システムのモデル事業を実施し、助成終了後には、各関連機関の協働でシステム継続が出来ています。

この神奈川県のように、システム運営に係る経費を多様な機関が分け合う形は、兵庫県でも参考にできる形ではないかと思われますし、申し上げてきた多文化共生社会の実現に向けた大きな一歩になり得ます。

外国人住民も、日本国民と同じ地域住民の一員であることの認識のもと、地域社会の構成員として共に生きていくことができるよう、医療通訳システムを始め、多文化共生社会の実現に向けた県の認識と取り組みを伺います

 

答弁者:産業労働部長

外国人県民が日本人県民と同様に住みやすく活動しやすい多文化共生社会の実現を目指すなかで、安全・安心の基本である外国人県民の医療のためには、医療通訳は大変重要と認識しています。

本県には外国語のできる医師やスタッフを有する病院は216カ所、診療所は2,057カ所、合計2,273カ所と数多くあり、これだけの外国語対応できる医療機関群を抱えている全国でも有数も地域である。このため、まず、これらの情報を外国人県民に提供しています。

また、医療通訳を活用するなどの取り組みも進めており、県国際交流協会の外国人県民インフォメーションセンターでは、医師と患者、通訳の3者が通話できるトリオフォンによる医療通訳の仕組みを提供しています。

また、同インフォメーションセンターの相談業務の一環として、患者の求めに応じて、同センターが2000円・患者が旅費を負担して登録医療通訳ボランティアを医療機関へ派遣しているほか、県の支援の下で外国人県民相談を行っているボランティア団体では、患者の求めに応じて原則無償で医療通訳の派遣を行っており、これらの事業では一定の派遣実績があがっています。

ご指摘の神奈川県の医療通訳派遣システムは、32の医療機関と提携するNPOが、医療機関の求めに応じて医療通訳を派遣する制度で、医療通訳謝金として医療機関が2000円、本人が1000円負担する制度となっています。

このシステムでは、医療機関側が通訳の必要性を判断するなど優れた点も多いが、この導入には、医療機関と個人の費用負担のあり方、医療機関側のニーズに応じた登録通訳者の確保、派遣主体の体制整備などの課題があり、同県の制度も参考にしながら、このような制度の導入について関係部局とともに検討します。

今後も、医療通訳システムをはじめ、外国人県民が安心して暮らせる多文化共生社会の実現に向けて、様々な課題を解決すべく取り組んで参ります

4 消費者サイドの視点に立ったひょうご農林水産ビジョン2020の推進

部局審査の答弁では、「ひょうご農林水産ビジョン2020」の4つの基本方向に沿った施策として、農業分野では担い手育成を図るため新規就農者確保事業や、農業生産力の強化を図る野菜増産プロジェクト事業、ブランド化・6次産業化などに予算を重点配分しました。

また、農林水産ビジョン2020において、具体的・野心的目標を掲げた、産業としての力強い農林水産業の実現のためには、農畜産物の生産技術や農業経営に係る知識等をもって農家に直接接して指導する普及指導員の活動は、極めて重要であり、これまでにも具体的な成果を上げている旨の答弁をいただきました。それらはいわゆる生産サイドの取組であり、少しずつ成果が出ていることも理解します。

今回は、消費者サイドの観点から、6次産業化による流通販売のあり方、もっと言えば、生産者サイドの値段で消費者ニーズに沿ったおいしく安全な農産物を如何に効率的に生産・販売する仕組みを構築できないかという観点から質問します。

例えば、千葉県の農事組合法人和郷園と株式会社和郷、熊本県の農業生産法人都城園芸組合と有限会社新福青果、山口県の株式会社秋川牧園、株式会社大潟村あきたこまち生産者協会と私が視察を行ったところですが、地域の生産者と法人が資材の共同購入、栽培技術の修練や土壌・残留農薬調査、生産物の加工から販売までを行い、それらはまさしく6次産業化といえる取り組みでした。そしてそれらは、加工・販売の部分が非常にしっかりしている点がポイントです。

そこで、県として「ひょうご農林水産ビジョン2020」の取り組みの中で、消費者サイドと生産サイドをつなぐ施策をどのように展開されるのか、特に消費者の理解や信頼を得るためにも、申し上げたような、生産者組合と法人との連携による生産・加工・販売の一体化に如何に取り組んで行かれるのか伺います。

答弁者:知事

大都市近郊の農業という本県の特性からいっても、生産、加工、流通販売を一連のものとして捉え、生産と消費を直接につなぐことは消費と生産との連携に不可欠です。

そのため、消費者目線の経営感覚を持った企業的経営能力を有する農業者育成のため、22年度より「ひょうご農業MBA塾」を開講、委員からご提示のあった「和郷園」など全国の先進的経営者を講師として招いている。塾生も消費者ニーズに沿った施策、生産者組合と加工・流通販売にノウハウをもった法人とのコラボレーションを貴重な教訓として学んでいます。

その結果、平均年齢35歳の大型稲作農家25名が参加した栽培面積650haを有する「株式会社兵庫大地の会」が本年3月1日に設立され、各地域で栽培されたひょうご安心ブランド等の特長あるお米の加工や販路拡大に取り組んでいる。また、県内若手野菜生産農家11名が組織する「太陽の会」の共同販売活動等、県下で活発な動きが見えつつあります。

生産に加え流通、販売面において、早くも成果を挙げており、今後、本県農業の中核を担ってくれることが期待できます。

また、豊岡市の農業生産法人「夢大地」は、17年度から75棟のハウス団地を有し、卸売市場と連携して消費者ニーズを反映した計画的な野菜生産に取り組んでいる。安心して生産でき、出荷できるという点で、生産と流通、生産と消費者が連携することが効果があるので、これらの活動を県下に広げるよう支援していきます。

今後も、「消費があってこそ生産が成り立つ」ことを基本に、大都市近郊に立地するひょうごの「強み」を生かし、消費者の理解と信頼を得つつ、生産から加工販売まで一体で担う企業的農業経営体の育成を通じて、産業として成り立つ力強い農林水産業を目指してまいります。

5 総合的な治水対策の全県展開について

総合治水条例に対して、私は高く評価をするだけでなく大きな期待を持っています。

部局審査では、条例制定を踏まえ、第8条に絞って今後の河川整備予算の確保を含めどのように進めていくのかお尋ねしました。

それに対して、下流からの改修に時間を要することから下流流下能力見合いの改修や巻堤による堤防補強などの河川整備を行うとともに、条例をよりどころとして市町、県民等と一体となって、流域での貯留、流水機能の維持などの流域対策、二線堤・輪中堤の設置、建物等の耐水化、防災情報を活用した避難の確保などの減災対策を推進することにより、河川整備と相まって、地域の安全度を向上させるとの答弁をいただきました。

総合治水条例は本当に素晴らしい内容で、県民、開発者、県・市町のそれぞれの義務と役割を定め、河川・下水道対策として、河川整備、下水道整備により「ながす」、流域対策として、開発に伴う調整池の設置及び保全、雨水貯留浸透機能の付加及び維持、雨水貯留容量の確保、出水時における河川へのポンプ排水の抑制、土地の遊水機能の維持、森林整備による保水力の維持及び向上により「ためる」、減災対策として、浸水が想定される区域の指定、浸水による被害の発生に係る情報の伝達、浸水による被害の軽減に関する学習、浸水による被害の軽減のための体制の整備、訓練の実施、建物等への耐水機能の付加、二線堤、輪中堤等による集落の浸水による被害の防止、浸水による被害からの早期の生活再建への備え(共済、保険への加入)により「そなえる」、加えて、土地利用計画策定者・県民等と連携することにより、浸水時の被害を減らすとされています。

この素晴らしい哲学を、県民、開発者、県・市町がどのようにして、それぞれが義務と役割を認識して実効あるものにするかにかかっています。そこで、とりわけ県民や開発者に対してどのように周知徹底を図り理解を得ようとされているのかについてお尋ねします

答弁者:副知事 吉本 知之

総合治水条例では、県、市町、県民が連携し、一体となって総合治水に取り組むこととしております。

県民の皆様には、その義務と役割を主体的に担っていただく必要があります。このため、県民一人ひとりに、①条例の目的や基本理念等を理解し、総合治水を身近なものとして実感し関心を深めていただくこと、②地域の課題を認識し、実践につなげていくことが重要です。これらを踏まえまして、本条例の一層の周知徹底を図ることといたしております。

まず、条例を理解し、関心を深めていただく取組でございますが、全世帯配布の「県民だよりひょうご」3月号に条例案の内容を掲載しており、条例の施行後は、市町と連携して各種広報紙への掲載等を、梅雨期を目途に集中的に行うほか、自治会や学校への出前講座等を通じて、条例の趣旨や個々の対策等を説明してまいります。

その中で、条例を身近なものと認識していただくため、例えば、各戸貯留等による浸水被害の軽減効果に加え、貯留した雨水を散水に利用することによる節水効果等の副次的なメリットもPRする等の工夫もいたしながら、取り組みを促してまいりたいと考えております。

さらに、地域の課題を認識し、実践につなげていく取り組みでございますが、県下11の地域毎に設置する総合治水推進協議会において、県民に様々な形で総合治水推進計画策定のプロセスに参加していただくこととしております。これらのことにより、地域の抱える浸水リスク等の課題認識を共有すること等により、共に考え共に行動する枠組みを構築してまいりたいと考えております。

また、1ha以上の開発行為を行う者に対して、調整池の設置・保全に罰則付きの義務を課すこととなるため、平成25年度の施行に向けて、開発に係る業界団体等を対象に、条例に基づく手続きや技術基準等を十分周知し、円滑な施行を図ってまいります。

今後、県民に対する丁寧でわかりやすい広報に努め、総合治水を推進する機運の醸成を図り、県民総意による総合治水を全県で展開してまいりますので、今後ともご指導・ご支援をよろしくお願い申し上げます。

6 自転車事故の防止と安全・安心対策の推進について

自転車による交通事故は深刻化しており、警察庁によれば、平成23年の自転車が、当事者となった交通事故件数(自転車関係事故件数)は、144,017件で、平成17年から減少傾向にあり、10年前の0.82倍となっておりますが、交通事故全体に占める割合は漸増傾向にあり、10年前の1.13倍と高い水準になっています。

同じことが県内でも言え、ここ数年、毎年8,400件程度の自転車関係事故が横ばい状態で発生しており、特に全人身交通事故が減少傾向で推移している反面、そのうちの自転車関係事故の占める割合が、増加傾向で推移するなど極めて憂慮される状況であります。

そのような現状の中、昨年、警察庁が発出した通達により、各都道府県警察では、自転車通行環境の確立や自転車利用者に対するルールの周知と安全教育の推進、指導取締りの強化について取り組んでいることと思います。

しかし、自転車が原則車道を通行しなければならなくなると「危険である」等の県民の意見を多く耳にするところであり、現在の自転車通行環境では、原則、車道通行を徹底することは困難と考えます。

県では、平成24年度と平成25年度の2カ年にわたる対策として、歩道や路肩のカラー舗装などによる自転車通行空間の確保と歩行者の安全対策を実施すると聞いています。

そこで、自転車事故の防止に向けた安全対策を推進するために、悪質な違反者に対する取締りはもちろんのこと、どのようにして歩行者や自転車の安全な通行空間を確保しようとしているのか、また、歩行者と自転車の分離対策や、自転車と自動車の分離対策を行う上で、規制の連続性を保たせるなど利用者に配慮した交通規制を行う必要もあると考えますが、道路管理者との連携も含め、県警としてのご所見を伺います

答弁者:警察本部長

ご指摘のとおり、人身事故の内、自転車が関係する事故の割合は増加傾向にありまして、自転車利用者のルール・マナー違反に対する批判も後を絶たない状況にあります。

また、自転車と歩行者が混在する歩道が多いなど、自転車事故防止に向けた対策には、まだまだ多くの課題があるというふうに考えております。

県警察では、今一度、自転車は「車両」であるということを、自転車利用者だけではなく、全ての人々に徹底させることを基本としつつ、制動装置不備などの悪質違反の取締りをはじめ、ルールを徹底するための街頭指導や、交通ボランティアと連携しました自転車教育など、従来の施策を充実させますととともに、自転車通行環境の整備にも取り組んでいくこととしております。

ご指摘の自転車の車道通行でありますが、一律に自転車を車道通行させるのではなく、幅員の狭い歩道上で自転車と歩行者が輻輳している場合において、車道側に十分な幅員の路肩がある箇所、あるいは車道に自転車専用通行帯規制の行える箇所、そういった箇所から自転車の歩道通行を可とする規制、これを見直すことを検討してまいります。

しかしながら、路肩に幅員がないなど危険な箇所では、歩道通行もやむを得ませんが、そのような場合には、自転車利用者に歩行者優先を徹底してもらうことが重要というふうに考えております。

さらに、そうした道路でも、一方通行規制や車線構成の変更などによりまして、車道に自転車の安全な通行空間を確保するための努力も続けてまいります。

いずれにいたしましても、交通規制だけでは安全な通行空間の確保は困難であります。

そこで、これまでも道路管理者等で構成をいたします「兵庫県自転車ネットワーク整備計画連絡会議」こういったものがございます。

これ等に参画をいたし、対策を必要とする箇所、方法等を検討するなど、道路管理者との連携を図ってきたところでございます。

引き続きまして、関係機関との協力体制を確保しながら、連続して自転車利用者が走行できる規制にも配慮して、ネットワークとしての、自転車通行環境の整備に取り組んでまいる所存でございます。

2012年04月03日(火) | カテゴリー: 一般質問等 |

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