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2016.10.26決算特別委員会総括質疑

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1 公共施設等の適正な配置の考え方について

 企画県民部審査において、丹波の森公苑に関して質問する中で、大きな観点で気になった点をまず伺います。

 丹波の森公苑は県民の生活創造活動を支援する県立生活創造センターの第1号として整備され、その後、生活創造センターは、神戸、東播磨に整備され、県下の他地域においては、同じ機能を有する生活創造情報プラザが但馬文教府、西播磨文化会館、淡路文化会館等に設置され、県下各地を概ね網羅し、県民の生活創造活動の拠点となっています。

 一方、丹波の森公苑とともに丹波の森協会が管理運営する「ささやまの森公園」は、農政環境部の所管ではありますが、「ふるさと森公園」の一つとして篠山市に整備されています。その他にも、加東市、多可町、姫路市夢前、宍粟市山崎、宝塚市に整備されており、県下中部に集中していると感じます。

 また、丹波の森協会が園芸・公園協会と共同管理している丹波並木道中央公園は県立都市公園です。これも、神戸・阪神地域や淡路地域に集中し、中播磨地域、但馬地域には配置されていません。かなりアンバランスな配置となっていると考えます。

 個別の配置の考え方は、各部局で整理はされているものと考えますが、人口減少社会を迎え、本県の今後の姿を見据えていく上で、このような類似施設については、公平と効率を踏まえて配置していく必要があることを指摘しました。

 一方、本定例会では、地域創生戦略が議決されました。今後、各地域が機能を分担し互いに補完しながら、兵庫全体の総合力や魅力が高まるよう、「多様性と連携」を基本に地域創生に取り組むとしています。その一翼を担う公共施設に関しても、人口減少が進む中で、公平、効率等の一定の考え方に基づいて適正配置を図っていくことで、兵庫らしい地域創生が進むと考えます。

 そこで、人口減少社会への対応としての地域創生を進めていく観点から、類似施設も含めた公共施設の適正配置の考え方を示していくべきと考えますが、当局の見解を伺います。

知事答弁

 公共施設については、施設ごとに設置目的や機能をはじめ、利用者の利便性、地域バランス、市町との連携等の観点を考慮し、配置している。

 生活創造センター及び生活創造情報プラザは、県民が暮らしの中で生活創造活動を行うための拠点施設であることから、各地域に配置している。同様に、県民が日常的に親しむスポーツ施設も、地域バランスを考慮して県下全域に整備している。

 ご指摘のふるさとの森公園は、自然活用型野外CSR事業の中で、県下中央の里山に適した豊かな県有林を活用しながら、勤労者が気軽に自然を楽しむ施設として整備してきたものである。

 県立都市公園は広域的見地に立って、市町の都市公園との連携も図りながら整備を進めてきた。中播磨では県立都市公園はないが、市立の姫路公園があり、姫路市の都市公園面積は県内で神戸市に次ぐ規模である。大河内高原についても、地域創生リーディングプロジェクト等により整備・活用を進めている。また、但馬においては、コウノトリの郷公園や但馬牧場公園など、地域の特色を生かした施設整備を行っている。

 地域創生の実現をめざすためには、公共施設は地域の活性化や暮らしの質の向上を図る重要な資源となる。特に、全県にわたる交通ネットワークの形成や、安全安心確保のための耐震、耐津波、土砂災害防止対策なども計画的に進めていく。県の出先機関の庁舎についても適正配置を検討していく必要がある。

 今後とも、施設の特性や地域バランス等を考慮するとともに、地域の元気を生み出す視点も大切にしつつ、施設の適正配置に努める。

2 がん対策の推進について

 健康福祉部審査で我が会派の前田委員が、検診の受診率向上などについて伺いました。

 本県では、死亡原因が第1位となっているにもかかわらず、検診受診率が全国ワースト10という状況の中、無料クーポン券などの配布、検診機関までへのバス送迎のほか、健康づくりチャレンジ企業に登録した中小企業への支援も助成経費を増額して利用拡大を図っています。その結果、受診率が低い重点市町のうち12市町が重点から外れるなど、一定の効果が出ているものの、人口の多い市町をはじめなかなか向上が進まないとの答弁でありました。

 費用助成だけでなく、意識醸成のためのPRも様々な形で実施しているようですが、前田委員も提案した教育機関での「がん教育」との連携、青少年への普及啓発を家庭への普及につなげていくなど、様々な形で県民の意識醸成を図る取組みを行っていく必要があると考える。

 先にも述べましたが、がんは、死亡原因の第1位であります。それに対し、現在死亡原因8位の自殺においては、平成19年には死因6位、本県で年間1,420人もの自殺者がいましたが、明確な目標や年次計画の設定、警察、市町等の関係機関との徹底した連携、各県民局単位での徹底した取組みなどを、議会からも提案し、昨年26年は1,147人と、目に見える形で成果が出てきていると考えます。

 がん対策推進計画においては、平成29年度に向けての目標値として、75歳未満の10万人当たりのがん死亡者67.9人、個別目標として検診受診率50%、要精検受診率90%などが定められていますが、目標と達成率などをもっと県民に明確に打ち出していくことも意識啓発の醸成につながるのではと考えます。

 先の病院局審査で同じく前田委員が取り上げましたが、全国に先駆けて整備された県立粒子線医療センター、平成29年度開院に向けて整備している「小児がんに重点を置いた新粒子線治療施設」など、本県はがんの治療面では全国のトップクラスと考えます。出口部分の、この充実した治療体制と同様に、入口部分の、早期発見に向けた受診率も全国トップクラスを目指した取組みが望まれます。

 そこで、がん対策の推進について、受診率が全国比較でもかなり低い本県の現状を踏まえ、抜本的な県民の意識啓発に取組むべきと考えますが、当局の決意を伺います。

答弁

 本県では、25年度からのがん対策推進計画におきまして「がんによる死亡者の減少」を全体目標の1つに掲げました。目標年度の29年度までに75歳未満年齢調整死亡率を人口10万対67.9にする。これは、平成19年が90.5、26年が79.0でございましたので、このままいくと思います。それから検診受診率を50%にする、このような個別目標を掲げて、市町支援、企業との連携、医療体制の充実等に取り組んでまいりました。

 この結果、22年から25年にかけてのがん検診受診率の伸び率は、子宮頸がんが20%増で全国1位、乳がんは18%増で3位と、その成果は少しずつ表れてきております。

 市町への支援につきましては、いわゆるコール・リコール(これは検診の個別勧奨あるいは再勧奨でございますが)これを推進いたします市町への国保調整交付金の重点配分、あるいは重点市町の指定によりまして受診率向上への取り組みを後押しいたしております。今後は、来年1月から始まります全国がん登録制度、これに基づきまして、地域別のがんの特性を分析して、地域の実情に応じた対策を立てる予定でございます。

 県民への意識啓発につきましては、がん検診等受診率向上推進協定企業による市民公開講座(コープこうべをはじめ13団体ございます)、あるいは全圏域に置いておりますがん診療連携拠点病院、あるいはこれらで構成いたします連携協議会等による県民向けのフォーラム等で、がんや検診に対する意識の醸成を図ってまいりたいと考えております。

 さらに、健康づくりチャレンジ企業とは、がん検診を受診するための休暇取得の促進など、環境づくりも併せて進めてまいります。

 特に、ご指摘の教育機関におけるがん教育についてでございますが、今年度、県立高校2校での講演会、あるいはがんについての啓発教材と指導資料の作成等が行われますことから、連携をいたしまして青少年へのがんに対する正しい理解を深めてまいりたいと考えております。

 本県の地域創生に向けた健康長寿社会づくりのために、事業所、医療関係者、市町等との連携体制を強化して、地域の課題や特性に応じた受診率向上も含めたがん対策に全力で取り組んでまいります。

答弁

 地域の活性化には、サラリーマンではなく事業主を増やすことは欠かせない。まず起業家の掘り起しのため、商工会議所等の創業塾を支援している。また、ひょうご産業活性化センターによる事業化に向けたコンサルティングや事業計画発表を通じてマッチングを図るひょうご・神戸チャレンジマーケット開催等の取組みを行っている。

 資金調達の支援としては、優れたビジネスプランを有する起業家への無利子貸付や新規開業者への低利貸付など、全ての創業者を対象とする支援を行っている。特に女性やシニア、UJIターン者については、初度調弁や立ち上がり資金の補助制度を展開している。女性ならではの感性、シニアやUJIターン者の経験やネットワークなど、強みや特性に応じてきめ細かくターゲットを絞ることで、創業希望者の潜在力を効果的に引き出し、円滑な事業展開が行えていると考える。

 昨年2月には、新規開業貸付について自己資金の要件を撤廃することにより、前年度比154%増の約7.7億円の貸付実績となった。100万円を上限に起業を支援する女性起業家支援事業も人気が高く、毎年100件以上応募があり今年度も31件を採択した。

 また、NPO法人についても、従来のコミュニティ・ビジネスの立上げ支援に加え、ビジネス性重視の起業支援についても対象にしていく。さらに、若者の活躍は地域創生に重要であり、優れたアイデアや技術を持つ若者によるクリエイティブ事業の創出支援も検討していく。

 一方、起業のリスク軽減については、活性化センター等による相談・助言により事業の失敗リスクを低減させている。また信用保証協会が金融機関と連携し、経営者個人の連帯保証を要しない法人への融資について保証を行っている。制度融資でも、自己資金や担保が不要な低利の再挑戦貸付により一旦廃業した人の起業を後押している。 これら多彩な支援メニューを活用し、金融機関を含む支援機関と一体となって、起業家の掘り起こしやリスク軽減等の起業支援に取り組み、元気兵庫の源として、様々な人材が能力を発揮し、起業という選択肢を通じて活躍できる環境づくりを進めていく。

3 元気兵庫の実現に向けた多様な起業支援について

 産業労働部の部局審査において、前田委員が県の起業支援のNPO法人への支援対象拡大などについて伺いました。

 日本の起業率は、欧米に比べ圧倒的に低い状況にあります。2013年度に発表された政府の「日本再興戦略」においても、日本の5%程度の起業率を欧米並みの10%に引き上げることを目標として取り組んでいます。

 そういう中で、本県においても様々な支援をしていますが、前田委員からは、若者起業家やNPO法人への支援の充実のほか、本県における地域創生の推進や、欧米並の起業率の実現に向けて、事業を興そうとする人材全体を対象として、細分化している現在の支援策をある程度統一して、起業家全体の底上げ、掘り起こしを行うべきではないかということを提案しました。

 また、起業にはリスクが生じます。日本人は特にリスクを敬遠するという国民性もありますが、起業リスクを軽減することが推進につながることは明白です。そこで、まず、気になるのが廃業リスクです。起業には廃業のリスクがつきものですが、欧米では高い起業率と同程度の廃業率となっています。ただ欧米では、廃業後に短期間で再度起業することも多い反面、日本では廃業で生じた債務を個人保証などしているため、廃業の決断がとりづらく、その上で廃業となると再起はなかなか困難な状況となっています。この点でのリスク軽減を図っていくことも必要ではないかと考えます。

 いずれにしても、本県の地域経済の発展を促し、地域創生を実効あるものとする上でも、起業家の掘り起こしや起業のリスク軽減など、多様な起業支援が必要と考えますが、当局の見解を伺います。

答弁

 地域の活性化には、サラリーマンではなく事業主を増やすことは欠かせない。まず起業家の掘り起しのため、商工会議所等の創業塾を支援している。また、ひょうご産業活性化センターによる事業化に向けたコンサルティングや事業計画発表を通じてマッチングを図るひょうご・神戸チャレンジマーケット開催等の取組みを行っている。

 資金調達の支援としては、優れたビジネスプランを有する起業家への無利子貸付や新規開業者への低利貸付など、全ての創業者を対象とする支援を行っている。特に女性やシニア、UJIターン者については、初度調弁や立ち上がり資金の補助制度を展開している。女性ならではの感性、シニアやUJIターン者の経験やネットワークなど、強みや特性に応じてきめ細かくターゲットを絞ることで、創業希望者の潜在力を効果的に引き出し、円滑な事業展開が行えていると考える。

 昨年2月には、新規開業貸付について自己資金の要件を撤廃することにより、前年度比154%増の約7.7億円の貸付実績となった。100万円を上限に起業を支援する女性起業家支援事業も人気が高く、毎年100件以上応募があり今年度も31件を採択した。

 また、NPO法人についても、従来のコミュニティ・ビジネスの立上げ支援に加え、ビジネス性重視の起業支援についても対象にしていく。さらに、若者の活躍は地域創生に重要であり、優れたアイデアや技術を持つ若者によるクリエイティブ事業の創出支援も検討していく。

 一方、起業のリスク軽減については、活性化センター等による相談・助言により事業の失敗リスクを低減させている。また信用保証協会が金融機関と連携し、経営者個人の連帯保証を要しない法人への融資について保証を行っている。制度融資でも、自己資金や担保が不要な低利の再挑戦貸付により一旦廃業した人の起業を後押している。 これら多彩な支援メニューを活用し、金融機関を含む支援機関と一体となって、起業家の掘り起こしやリスク軽減等の起業支援に取り組み、元気兵庫の源として、様々な人材が能力を発揮し、起業という選択肢を通じて活躍できる環境づくりを進めていく。

4 農林水産業における生産者の自立について

 TPPによる関税撤廃項目が公表されました。全体で95%の関税撤廃、農林水産物においても、コメ、牛・豚肉、麦などを除く81%の関税が撤廃されます。まさに、産業としての力強い農業の確立に向け、待ったなしの状況となっています。そういう中、本県においては、農林水産業も一つの柱として地域創生戦略を策定し、人口減少社会における5年間の方針を定めるとともに、新たな農林水産ビジョンの策定にも取り組んでいます。

 このような背景を受け、農政環境部審査においては、農業、林業の再構築に当たって、様々な形での担い手の育成の重要性を指摘しました。漁業も含めて、まさに大きな転換点に迎えた農林水産業の再構築において、生産者の自立という視点が不可欠となると考えます。

 農業に関して言えば、新規就農者の年間目標300人を昨年度は達成し、県として、さらにそこから地域農業の振興に重要な担い手へと育成し、生産者としての自立を図るため、様々な取組みを実施しています。一方で、林業、漁業に関しては、農業ほど取組みが進んでいないと感じます。

 いずれにしても、農林水産の各分野において、ある程度の行政支援は必要ではありますが、行政支援に頼り切るような形で生産者の自立を図るのでは継続性がないと考えます。持続性ある自立の流れ、生産者の自立が継続して生み出される好循環を生み出すシステムのようなものが構築されれば、ひょうごの農林水産業の再構築へのビジョンも明確になると考えます。

 そこで、現下の農業を巡る厳しい環境の中、ひょうごの農林水産業の再構築に向け、いかに生産者の自立を促す仕組みを構築していこうとするのか伺います。

答弁

 自立した農林水産業を展開していくためには、将来にわたり持続できる、収益性の高い経営体の育成が重要である。

 このため、①農業では、小規模稲作兼業農業から付加価値の高い野菜生産への転換や、稲作における集落営農組織、法人経営体による規模拡大、②林業では、生産サイクルが実現する資源循環型林業の構築、林業事業体の収益性向上をめざす。③水産業では、瀬戸内海におけるマリンツーリズムや新たな養殖の導入による複合漁業経営の展開、日本海における新型漁船への更新による沖合底びき網漁業の発展をめざす。

 これらを実現するため、農業では、人材育成として、①農業MBA塾などによる担い手の経営能力の強化を図るとともに、経営基盤の確立として、②農業施設貸与事業などを活用した収益性の高い施設園芸の取組拡大、③農地中間管理事業を活用した農地の集積・集約化による経営規模の拡大などを推進している。

 また、林業では、①経営者、森林施業プランナー、現場技能者の経営・技術力の向上、②低コスト原木供給団地の設定や、路網整備の推進、高性能林業機械の導入、③CLTや但馬テイポス等新技術の導入、④バイオマス発電等への未利用木材の供給などを促進している。

 さらに、水産業では、①大輪田塾等による漁業者の経営力強化、②所得の向上を図る「浜の活力再生プラン」の実践支援、③アサリや一粒(ひとつぶ)カキ等、新たな養殖業での技術導入などを支援している。

 今後は、TPPの大筋合意も踏まえ、従来の取組に加え、即戦力となる人材を養成する「ひょうご林業大学校(仮)」の創設、高鮮度保持施設や低燃費エンジンを装備した漁船への転換支援、さらには、林業、水産業の設備貸与制度創設などを検討していく。

 今後とも、経営能力に優れた人材育成や経営基盤の強化を進め、収益性の高い担い手中心の力強い本県農林水産業を再生する。

5 教職員の多忙化の改善について

 この件については、これまでから我が会派の多く議員が取り上げ、指摘、改善を求めてきました。決算委員会の教育委員会審査においても、竹内委員より、教職員の個人賠償責任保険加入、教頭の激務の状況などを確認しながら、なかなか改善が進まない教職員の多忙化の現状を指摘しました。

教 職員の多忙化については、長年の懸案となっており、平成20年度に教職員の勤務時間適正化対策プランを策定、平成24年度末には新対策プランを策定し、多忙化改善に取り組んできましたが、「いじめ」や「モンスターペアレンツ」など社会を賑わす問題への対応のほか、児童生徒、保護者、社会からの要請のさらなる多様化・高度化により、教職員の職務に対する時間的・精神的負担の改善は、目に見えた形で成果は出ていない現状にあると考えます。

 「ひょうご教育創造プラン」の平成26年度実績報告においても、教職員の業務改善の観点の指標で、週1回の「ノー会議デー」を実施している学校は88%に上りますが、「定時退勤日」の実施は66%程度という状況にあります。また、多忙化ばかりが原因ではないと思いますが、精神疾患による療養者数も増加している状況にあります。様々な対策を行うものの、様々な側面からの業務の多忙化、多様化がさらに進んでいるのではないかと危惧します。

 このような状況の中、教頭先生の業務に関して、来校者対応、保護者対応等が多くなるとともに、雑務対応も含めて、大変な激務となっている現状を竹内委員が指摘しました。緊急突発的な業務に関して管理職が対応することは、組織の業務執行体制としてよくあることであります。また、教頭先生は教員の様々な業務の総括を行うものとして多忙となることは、校長へのステップアップに向けたマネジメント能力を身につける段階であり、むしろ積極的にチャレンジする意識が醸し出されるような職場環境でなくてはならないと考えます。ただ、それが常態化、顕在化し、教頭のなり手不足や教頭からの降格希望が出るようでは、教職員全体のモチベーションの低下、ひいては兵庫の教育力の低下につながっていくことを危惧します。

 以上述べてきたとおり、教職員の多忙化改善は緊急課題だと考えます。教職員の多忙化改善に向けた、教育長の決意を伺います。

答弁

 教職員の多忙化につきましては、従前から課題と認識しており、平成24年度にご質問にもありました、教委から学校への調査・照会の簡素化ですとか、業務のIT化、会議や部活動の見直しなどによる超過勤務縮減を柱とする多忙化対策のプランを策定して、全県的に取り組んでまいりました。その結果、教育委員会から学校への調査・照会の削減ですとか、一人一台のパソコン配置、それから、生徒の通知表・指導要録等の入力の電子化などにより、一定の業務の効率化は図られてきたところです。

 しかし、教諭として行う業務そのものの見直しによる超過勤務縮減は未だ十分とは言えない状況にあります。その主な要因は、小学校では生活指導、保護者対応に係る時間、中学校や高等学校では生徒指導や部活動指導に係る時間の縮減が難しいためであるというふうに考えております。

多 忙化対策のプランを推進するにあたりましては、プランを作ってから25・26・27年の3年間で県内すべての学校を業務改善推進校に3分の1ずつ指定するかたちで指定をいたしまして、各校で工夫を凝らした取組を進めてもらっています。その中で、すべての教職員に業務改善への取組の役割を一人ひとりに割り当てることから、教師の業務縮減への意識改革が進み、「ノー会議デー」「ノー部活デー」などを完全実施できている学校などもありますので、情報交換会などで、それらの優れた取組の共有化を図っていきたいと考えています。

 なお、教頭につきましては、会議の精査など業務そのものの縮減と、一方で主幹教諭の活用により、業務を分散して負担を軽減できるように、今後も継続的に指導してまいります。国に対しましても、定数改善による教頭の大規模校などへの複数配置の拡充を要望するとともに、文部科学省の方で現在進めようとされている「チーム学校」による事務職員の定数改善にも期待をしているところです。

 今後、現在の取組をさらに推進するとともに、来年度には、これまで3年間の取組を検証して、その結果に基づいて、すべての教職員が多忙感の軽減を実感できるよう、さらなる取組を進めてまいります。

6 警察人員の配置の考え方について

 公安委員会審査で前田委員が警察署別の交通事故件数、刑法犯認知件数の資料を示しながら質問しました。

 この2指標での分析では警察署間に最大8倍もの差があるものの、2指標以外の要因でも、多様な業務、多様な地域事情があり、それらの要素を総合的に勘案した結果、唯一の正解はないとしながらも、適切な組織体制の構築を図っているとの答弁でありました。

 また、昨年12月の我が会派の代表質問における答弁でも、警察官の適正な定員については、治安情勢等に応じて不断の見直しを行っていくとの回答があり、その不断の見直しに関しては、各署で生じた新たな事案事象などを細かくヒアリングを行い、全体最適の観点で取り組んでいるとのことでありました。

 確かに、豊岡北、養父、佐用、宍粟、福崎、篠山等の小さな警察署では、最低限必要な配置人員が優先され、交通事故・刑法犯認知件数で比較するには無理があるのは承知をしています。前田委員が指摘しているのは、2指標は一つの例示であり、その他の色々な指標、例えば市街地面積、人口、住家戸数、110番受理件数等々、客観的な指標も一つの判断基準であること、また、外部有識者も加えて検討することも含めて、警察署からのヒアリングという形だけでなく、客観的な検討の結果として、適正な配置人員を導き出すべきではないかと指摘したところであります。

 そこで、警察人員の定数配置について、県民の安全安心に直結する案件であることからも、適正な配置人員を県民にわかりやすく客観的に説明していく考え方について、所見を伺う。

答弁

 警察署の人員配置については、県下全域の治安維持力のバランスと住民の利便性の確保を重要視している。

 指標では、比較的負担が軽いとされる小規模警察署においても、事件事故の発生や行政手続き、災害等の事案対応や夜間体制確保の観点から初動措置に最低限必要な人員を配置している。

 また、指標が極めて少ない地域であっても地域住民のニーズに応えるために駐在所を設置し、警察官を配置しており、これらの結果、2つの指標について格差が生じているところである。

 県警察における警察署定員は、多くの治安指標の項目をその時々の治安情勢や課題に応じた観点で分析するとともに、関係各部間におけるヒアリングを行うなどして、数値面と現場の実情の両面から検討した上での決定を行っているところである。

 県警察では、これまで警察署の体制について県民の声に耳を傾けるべく、外部有識者による検討の場を設置し、その意見を警察署再編整備などの施策に反映してきたところである。

 今後も警察署については、各地域において県民の安全と安心を確保する体制を構築していく。

7 警察職員関連事案について

 昨日、1ヶ月間で3人目となる職員の自殺の報道があった。そして、その3人は全て寮に入寮していた。それぞれの事案については、今後、原因調査を含め、再発防止に取り組まれていくと思う。ただ、1カ月で3人もの事案が生じたこと、また3人目の職員はいろいろな事情聴取中であったことなどから、少し組織的に甘かったのかなと思う。県では自殺対策の取組みで大きな成果が出ているところである中、このように事案が連続して生じたことに対する本部長の認識を伺う。

答弁

 委員指摘のとおり、先月末から今月にかけて、3人の警察官が自殺を図ったところであり、その動機等について現在調査中でありますが、いずれにしても若い警察官が自殺したということは、誠に遺憾である。

 県警察としては、今後も職員のメンタルヘルスに十分に配意することなどにより、自殺防止に努めていきたいと考えている。

8 人口減少社会を踏まえた財政状況の見える化について

 財政状況の審査において、我が会派の竹内委員の質問で、外郭団体等への年度当初の単年度貸付金に関して、次年度の単年度貸付金で出納整理期間中に地方公共団体の前年度歳入として外郭団体等が償還することを毎年度繰り返して、単年度貸付が続いているように見せかける、いわゆる「単コロ」について確認しました。夕張市問題で表面化したこの「単コロ」ですが、本県も平成18年度まで約500億円程度、実施していたことが明らかになりました。今まででは、なかなか説明されなかった内容であり当局の真摯な態度に敬意を表しますし、大変なご苦労をされていたのだと理解をしました。竹内委員も申し上げましたが、私も平成19年度に初当選をさせていただきました。その9月議会で知事は、大幅な歳入欠陥が生じる恐れがあることを表明されて、結果、600億円余りの予算留保・執行停止がなされました。私たち議員も地元において、執行停止になった事業の理解を得るのに大変な苦労も致しました。

 また、一般質問等を通じて指摘してきたみどり公社へのオーバーナイト貸付についても、粘り強く民間金融機関と協議した結果、平成26年度で終了し、民間金融機関からの融資に切り替えることができたことも明らかになりました。

 加えて、企画県民部審査において指摘した公共施設等の老朽化対策の必要性も含めて、これらのいずれも総務省の「地方財政の健全化及び地方債制度の見直しに係る研究会」において、新たな課題として認識され、財政健全化に向けた財政分析手法の再検討がなされています。様々な財政指標が全国的によくなっているものの、全ての負債が網羅されていないとして、特に、オーバーナイト、単コロ、年度を越えた基金の繰替運用などは、厳しく取り扱うことについて検討がなされています。

 また、公営企業会計においても、平成23年度の地方公営企業法施行令等の改正に伴い、会計基準の見直しが行われ、平成26年度予算及び決算から適用になりました。その影響は、県内13自治体21事業の債務超過が判明したことが報道されたほか、本県の平成26年度公営企業会計決算においても、債務超過でないものの、監査委員からの審査意見書で財政状態を示す固定比率が上昇、流動比率が低下しているものが多く見られます。基準の見直しについては、不透明との指摘があった公営企業の経営状態の透明化に向けた第一歩としては評価します。ただ、企業庁審査で竹内委員が質問した地域整備事業における事業化方針の決まっていない進度調整地、簿価にして493億円についても、411億円もの資本があることも踏まえ、この見直しに合わせて自主的に時価評価を行い、県民に厳しい現状を伝えていくべきであったことを指摘しておきます。

 いずれにしても、今後の人口減少社会の進展を踏まえ、このような将来世代への負担に関連する財政状況については、総務省での透明性の高い財政分析手法の検討と並行して、県民にわかりやすい形で公表していく責務があると考えます。

 そこで、総務省の研究会での検討状況等を踏まえ、将来世代への負担などに係る財政状況のさらなる見える化について、知事はどのような見解をお持ちか伺います。

答弁

 将来世代への負担を把握し、県民に分かりやすく公表することは、行財政構造改革に取り組む本県にとりまして非常に重要な問題であるという風に認識しております。このため、将来負担比率等の健全化判断比率をはじめといたしまして、公営企業や公社等を含めた連結財務諸表等の作成・公表のほか、本県独自の取り組みといたしまして、行革プランにおきまして平成30年度までの財政運営の目標を定め、毎年度、各種財政指標の見込みを発表させていただいているところでございます。

 ご指摘の総務省研究会につきましては、地方財政健全化法の全面施行から5年が経過したことを契機といたしまして、従来は将来負担として捕捉されてこなかった項目の取扱いについて検討が行われておりますが、本県では既に、いわゆる単コロにつきましては廃止をし、兵庫みどり公社におけるオーバーナイトにつきましても昨年度末をもって解消を図ったところでございます。

 県債管理基金から地域整備事業会計に対して行っている年度を越えた基金の繰替運用につきましても、条例の規定に従いまして、歳入歳出予算に定めて実施をしているものでありまして、また、同会計の決算書においても、県債管理基金からの借入金として明示をしているところでございます。

 また、進度調整地につきましては、第3次行革プランに基づき、県民・企業ニーズや事業の採算性を踏まえ、その利活用を検討していくこととしております。その具体的な計画が定まった時点で、時価評価を含め適切な対応を行ってまいります。

 今後とも国の動向等を注視しつつ、将来負担に関する公表のさらなる充実を図り、財政状況の見える化を推進してまいります。

2015年12月10日(木) | カテゴリー: 一般質問等 |

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