健康福祉部
1.地域医療圏域におけるバランス(医療資源の確保と提供)について
(県立病院と自治体病院、民間病院の配置及び財政負担について)
県の保健医療計画では 「第2章 計画の性格・位置付け」で、「この計画は、都道府県が策定する医療計画であると同時に、地域保健対策の方向を示す基本的な計画である。また、県民、市町、保健・医療機関、関係団体等の参画と協働のもと、それぞれが取り組むべき保健・医療分野の基本的指針としての性格を併せ持つ。」とされ、「第4章 いのちを守る安心の医療提供体制の充実」では、「すべての県民が、いつでもどこでも安心して適切な医療が受けられるように、医療提供体制の充実に努める。」とされています。
しかし、実態として圏域によっては「すべての県民が、いつでもどこでも安心して・・・」とはなっていないように思われます。先月の27日に西播磨市町長会から西播磨選出議員に対する要望会があり、相生市からは「周産期医療・小児救急医療体制の確立について」の要望がありました。また、公立神崎総合病院でも産科医は1人、小児科医についても神河町独自の努力によって今年の4月から常勤医1人、非常勤2人となっていますが、決して十分とは言えません。
医療資源は、独立行政法人化もありますが国立、県立、大学付属、赤十字病院や労災病院、公立・自治体病院、民間医療法人等々がありますが、多くは阪神から姫路にかけての海岸線沿いにあり、それ以外の地域では医療資源が限られており、公立・自治体病院が多くを担っております。しかし、西播磨や但馬地域、中播磨の神崎郡では決して十分とは言えません。また、小さな市町での病院経営は大きな住民負担ともなっています。21市町・組合立病院で一般会計からの繰入金額は、200億94百万円、私の出身町の神崎総合病院では5億1千万円繰入れています。ちなみに人口は13,000人です。また、県病院事業会計では、132億43百万円です。
そこで、すべての県民が、いつでもどこでも安心して適切な医療が受けられようにするためにはどうあるべきかについてお尋ねいたします。
答弁(太田健康福祉部長)
県民の医療需要に的確に応え、県民が安心して医療を受けられるようにするためには、限られた医療資源を有効に活用し、効果的・効率的な医療提供体制を構築することが重要である。
このため県では、現行の保健医療計画において、がんや救急など4疾病5事業毎に柔軟に圏域を設定し、拠点的な病院を定めるとともに地域の実情に応じた医療連携体制の構築に努めるほか、昨年度には、各圏域の医療機能に配慮した病床配分を行ったところである。
しかしながら、人口規模が小さい市町が多い圏域については、医師の安定的な確保が困難であるなど、沿岸部・都市部と比較して医療資源に格差が生じ、住民の医療ニーズに十分対応できていない面があることは課題であると認識している。
このため、新たな医師確保対策として、大学と共同した地域医療活性化センター(仮称)の整備やへき地勤務医師の養成増を行うとともに、救急医療体制の充実のための救命救急センターの整備やドクターヘリの導入を図っている。
さらに、平成25年4月に改定する保健医療計画においては、新たに在宅医療の医療連携体制等を盛り込むことにより、医療資源の希薄な地域を支援する体制を強化し、すべての県民が安心・安全な医療を受けられるよう体制の整備を進めていきたい。
2.自殺の現状認識とその対策・事業執行について
2011年人口動態調査によると死亡者総数から引き出される死因は、1位・悪性新生物、2位・心疾患、3位・肺炎でありますが、五歳階級ごとに死因順位を見ると男性は20~44歳の5つの階級で、死因の第1位は自殺であります。女性もまた、20~34歳の3つの階級での死因の第1位は自殺でありあります。この社会の中心的位置にある活動期、働き盛りの世代の死因第1位が自殺であります。このことから、雇用・労働環境による経済的問題が大きいと私は考えています。
兵庫県における自殺対策の基本的認識を確認すると、
(1)自殺は個人の自由な意思や選択の結果ではなく追い込まれた死であり防ぐことができる。多くの自殺は、個人の自由な意思や選択の結果ではなく、経済・生活問題、健康問題、家庭問題など様々な要因とその人の性格傾向等が複雑に関係して発生しています。また、自殺を図る直前には、うつ病、アルコール依存症等の精神疾患を発症し、正常な判断を行うことができない状態となっている場合が多いことが明らかになってきています。よって、社会的要因については、社会の適切な介入により、また、うつ病等の精神疾患に対しては早期発見と適切な治療により、多くの自殺は防ぐことができます。
(2)自殺を考えている人は自殺の危険を示すサインを発している。死にたいと考えている人も、心の中では「生きたい」という気持ちとの間で激しく揺れ動いており、不眠、原因不明の体調不良など自殺の危険を示すサインを発しています。自殺を図った人の家族や職場の同僚など身近な人は、自殺のサインに気づいていることも多く、このような県民一人ひとりの気づきを自殺予防につなげていくことが重要と言えます。・・・・・となっていますが、決算額を見れば、健康福祉事務所相談体制充実、自殺未遂者支援事業、高齢者対策の介護従事者や婦人会団体への研修の実施、市町による自殺予防対策事業への助成定期健康診断を活用したメンタルヘルスケア事業 等々で不用額が出ています。
そこで、先ほどの県の自殺対策の基本認識の重要な部分、相談体制、気づき、市町窓口で各手続きからの気づき、自殺未遂者の支援、メンタルケアだと考えますが、十分な事業執行となっているのかお伺いします。
答弁(入江いのち対策室長)
委員ご指摘の自殺対策の基本認識の重要な部分への対応については、①相談体制の充実では、いのちと心のサポートダイヤルを24時間体制で実施し、相談件数が17,275件と22年度の約1.4倍となった、②気づきや見守り体制の充実では、いのちとこころのサポーターを約1,300名養成するとともに、民生委員・児童委員及び市町窓口職員等に対する研修を約25,000人を対象として実施した、③自殺未遂者支援では、災害医療センターにおいて、自殺未遂者を地域相談窓口へつなぐための相談員を配置した、④メンタルケア対策では、市町における特定健診において、うつチェックシートを約8,000人の県民に配布し、そのフォローを行うモデル事業を実施するなど、多様な取組を行った。
また、ご指摘の不用額の主な要因は、各市町における自殺予防対策事業の実績が予算を下回ったものであるが、23年度には、すべての市町で自殺予防のチラシの配布や、うつ、自殺についての正しい理解を促すための研修会が実施されたほか、29市町で庁内や庁外の関係者を構成員とした連絡会議が設置されるなど、市町の取組も進んできた。
今後も、関係機関や民間団体等の多様な主体との連携を図り、年齢ごとに緊急度が高い優先して取り組むべき課題や自殺ハイリスク者対策への取組を強化する。
3.少子化に対する現状認識の確認とその取り組みについて
知事は新ひょうご子ども未来プランの中で、「少子化問題をすぐに解決する切り札はありません。」とし、「今後5年間(平成23~27年)の出生数24万人を目標とし、「子どもを産み育てる」などの6つの柱に、少子対策・子育て支援を総合的に推進します。目標の実現には、県民、事業者、団体、行政等が互いに連携しながら、それぞれの役割を担っていくことが欠かせません。」と述べられています。そして多種・多彩な少子対策が、健康福祉部をはじめ、産業労働部、企画県民部など各部局に亘った総合政策となっています。
2011年政府は「子ども・子育てビジョンに係る点検・評価のための指標調査」を行っていますが、回答によれば「目指すべき社会の姿」の内、「意欲を持って就業と自立に向かうことができる社会」に対して「そう思わない」と「あまりそう思わない」の計57.1%、同じく「誰もが希望する幼児教育と保育サービスを受けられるような社会」が計55.6%、「仕事と家庭が両立できる職場環境の実現が可能な社会」が計51.0%と評価が低くなっています。
「将来子どもを持つと考えたとき、または自分の子どもが子どもを持つと考えた時にどんな不安があるか」との質問に対しては、「経済的負担の増加」が71.7%と最も多く、次いで「仕事と生活・育児の両立」が41.7%、「不安定な雇用、就業関係」が43.7%、「保育所などの保育サービスの不足」が、37.4%、「出産年齢、子どもを持つ年齢」が32.0%となっています。
子ども・子育てビジョンの取組に関して1番目から5番目に不十分だと考える項目では、「若者の自立した生活と就労に向けた支援」が上位5つの合計で37.6%、次いで「長時間労働の抑制、テレワークの活用等、働き方の見直しに向けた環境整備を図る取組」が32.8%、「育児休業制度・その他両立支援制度の普及・定着及び継続就業の支援とともに、子育て女性等の再就職支援を図る取組」が29.9%、「児童虐待を防止するとともに、社会的養護を充実する取組」が28.8%、「待機児童の解消や幼児教育と保育の質の向上等を図る取組」が26.0%となっています。
この調査から本質的には、雇用・就労・労働環境改善が如何に求められているかだと思いますが、この部分は経済、企業活動による部分が大きくなかなか達成が困難と思います。また、同時に結婚・出産・育児について多くの不安を持っていることがわかりますが、こここそ行政・健康福祉部にかかっている部分だと思います。
そこで、新ひょうご子ども未来プランの2年目として、少子化の現状をどのように認識し、取り組まれたのか、その状況と成果についてお伺いします
答弁(大内こども局長)
本県は、「子どもを産み育てる」等6つの柱からなる「新ひょうご子ども未来プラン」を平成22年に策定し、少子対策・子育て支援を総合的に推進してきたが、20~30歳代の女性人口の減少が続くことから、今後も全力で少子対策・子育て支援に取り組む必要があると考えている。
昨年度は、879億8千7百万円の予算により376事業を展開し、その内、若者の雇用・就労・労働環境改善については、若年求職者にワンストップで相談、職業紹介を行う「若者しごと倶楽部」で約1,600人の就職を実現し、「ひょうご仕事と生活センター」では、延べ約1,400件の相談対応や相談員派遣、研修企画を行い、ワークライフバランスの推進に取り組んだ。
また、結婚・出産への支援として、「ひょうご出会いサポートセンター」で117組の成婚を支援し、本年度は180組が見込まれるほか、「特定不妊治療費助成」を3,349人に行った。
育児支援では、待機児童対策として、保育所定員を1,559人増加させ、認定こども園を新たに12施設認定し全国2位の72カ所とした。また、子育て不安を解消するため、約2千カ所の「まちの子育てひろば」の活動を支援し、「乳幼児子育て応援事業」を民間保育所341施設、私立幼稚園159園で実施した。さらに、子育ての経済的負担軽減のため、「乳幼児等医療費助成」、「こども医療費助成」や多子世帯の保育料軽減を行っている。
こうした取組により、プラン2年目となる昨年の合計特殊出生率は全国平均を上回る1.40となり、一定の成果と考えているが、今後も、誰もが安心して子どもを生み育てることができる社会をめざし、少子対策・子育て支援に全力で取り組む。
4.動物愛護に向けた適切な取り組みについて
この春の予算委員会で藤井議員が質問、私も総括質疑を行いましたが、その質疑の記録を見られた県内の方から問い合わせがあり、色々のご指摘を受けました。その内容については県当局にもお伝えし即座に対応もいただきましたが、まだまだ実効ある成果を上げるには課題も山積しているようにも思います。
先日会派では、「ペットの殺処分ゼロ」を実現しているドイツの保護政策の視察を行っています。その報告を紹介しますと、『ドイツでは、捨てられた犬猫、飼い主が飼えなくなった動物を絶対に殺さず、殺処分場はひとつもありません。その代わりに里親捜しのための「動物の家」というシェルターが500以上存在しています。シェルターの運営は、民間の動物保護団体が行い、「動物の家」は全て民間のものであるとともに、会員の会費、遺産贈与、寄付で予算は賄っており、職員・獣医とともに多くのボランティアの活動で維持されています。視察したミュンヘンのシェルターの一つである「動物孤児院」は、会員 2万人(ミュンヘン市の人口30万人)を擁し、年間会費として大人31ユーロ、65歳以上・子ども青年は10ユーロを徴収しています。また施設の運営予算は、年間500万ユーロ(約5億円)であり、施設職員65名(内獣医5名)で運営され、年間約8500匹の動物が持ち込まれるという報告を受けました。
施設の活動内容は、兵庫県動物愛護センター等で行っている飼い主捜しや新たな引き取り手の募集のためのイベント開催、犬の躾等々活動内容はほぼ同様ですが、その規模と市民全体を巻き込んだ自主的な活動・運営全般において、大きな差異があり、今後の兵庫県の動物愛護施策において、ボランティア等を巻き込んだ官民一体となった取り組みの構築を図らねばならないと強く感じました。』となっています。
県おいては、行革プランの執行の中であるだけに、市民やNPOとの協同と参画の視点で適切な取り組みができないものかと考えるところです。
そこで、平成23年度までの取組として、市民・NPOとの連携がどのようになされていたのかお尋ねいたします。
答弁(村上生活消費局長)
県民への適正な飼育管理や動物愛護思想などの普及啓発を行うため、平成10年4月より、動物愛護センターにおいて、民間団体主催による犬のしつけ方教室(H23年度:2312団体、573回、5,430人受講)や講習会(H23年度:236回、80人受講)等が実施されている。この中で、飼い犬が逃走した場合の問い合わせ先の周知や鑑札、迷子札の装着等、返還率向上のための啓発も実施いただいている。
また、動物愛護センターから譲渡を受けた犬の飼育者は、平成16年9月より、自ら譲渡犬飼い主の会(現会員数528世帯)を立ち上げており、それぞれの会員には居住する地域において、正しい飼い方の情報発信を行っていただいている。
譲渡数の向上のため、平成24年1月からは、適正飼育の模範となっていただける方への譲渡という本県の基本スタンスは維持しながら、従来の個人への譲渡だけでなく、団体へのねこの譲渡も開始(2団体、6匹)している。また、犬の団体譲渡についても来年度から実施する予定としている。
このほか、県民の中から知事が委嘱した動物愛護推進員(44名)には、県民からの相談のほか、ふれあい事業やマナーアップのイベント等に協力いただいている。
以上のような取組を通じ、市民・NPO等との連携を進めながら、引き続き人と動物が共生する社会づくりを推進する。
企画県民部
1.過去の大規模災害(自然災害、火災等)から学ぶ消防団員・職員等の災害救助関係者の安全対策・学習啓発について
9月29日午後2時半ごろ、姫路市網干区興浜の「日本触媒姫路製造所」で、アクリル酸を貯蔵するタンクが爆発した。出動した消防隊員1人が死亡。消防隊員24人と従業員10人、警察官2人の計36人が重軽傷を負った。
この事故の報道を聞いたときに、化学工場だけにタンクの爆発ということがなぜ想定できなかったのかと率直に思いました。
後日の報道では、両手にやけどを負った消防司令は「爆発の危険性は知らなかった。」とし、市消防局は、爆発の危険性について「日本触媒からは『熱が上がってきている。最悪の場合、爆発の危険性がある。』との内容で説明を受けた。」としており、また市消防局次長は「(爆発危険)周知されていたはずですが…」と肩を落とし、「隊長の指示がどうであったか不明ですが、結果的にそうならば、(情報伝達の在り方を)見直さねば」と話していたとしています。
現場に市消防が到着したときには、自衛消防がタンクのすぐ傍で放水を行っており、その後方に下がって安全確認を行う状況ではなかったとも思えます。
また、過去の大規模災害として、9.11ニューヨークのテロによるビル崩壊でも多くの消防職員が被害にあっています。平成21年の台風9号水害では、水防指令発令で庁舎に駆け付けようとした役場職員が冠水した道路で水没死しました。昨年の3.11東日本大震災・津波災害では、最後まで住民に避難放送を続けた役場女性職員をはじめ多くの災害避難対策に従事した役場職員や消防団員・職員や教職員が犠牲となりました。
いずれにいたしましても十分な検証を行い二度と繰り返さない安全教育が必要と考えます。
そこで、過去の大規模災害(自然災害、火災等)からどのように学び、消防団員・職員等の災害救助関係者の安全対策・学習啓発について行ってきたのかについてお尋ねいたします。
答弁(松原災害対策局長)
消防団員や消防職員は危険な現場で迅速に活動しなければならないだけに、日頃からの安全教育の徹底が重要である。
これまで消防庁において、「警防活動時等における安全管理マニュアル」を作成・改訂してきており、各消防本部の安全管理体制の整備や消防職団員個人の資質向上が図られてきた。昨年の東日本大震災を検証し、新たに津波災害時の退避の徹底や安全確保のための教育訓練等の一層の充実も必要とされている。
県では、これまで消防団対象の安全管理研修を毎年開催しているほか、県消防学校において、消防職団員を対象とした安全管理に関する教育訓練課程を設けており、その中で過去の具体的な事例等に即した教育を行ってきた。また、本年11月には国のアドバイザーを招き東日本大震災を踏まえた災害対応指導者育成研修を予定しているほか、全国の過去の主要事故例などを分析・共有化した消防ヒヤリハットデータベースの有効活用も呼びかけている。
また、市町や消防本部においても、安全管理規程や安全管理マニュアルを整備し、消防職団員への教育訓練や現場指揮体制などの充実に努めているほか、東日本大震災を教訓に、消防団へのライフジャケット等の資機材整備も行っている。
このたびの姫路の爆発火災事故については、現在原因調査が進められている。その結果を踏まえ、県消防長会や市町等とも連携して、安全対策や学習啓発等を更に徹底し、「安全文化」の定着を図っていきたい。
2.均衡ある県政の推進について(医療資源の整備)
特に我が会派の越田議員が県と市町の二重行政についてよく質問いたしますが、私は適切に役割・任務分担を行い県民生活の向上につながっていればよいと考えます。
その中の一つに病院の運営があります。病院は、独立行政法人化もありますが国立、県立、大学付属、赤十字病院や労災病院、公立・自治体病院、民間医療法人等々がありますが、多くは阪神から姫路にかけての海岸線沿いにあり、それ以外の地域では医療資源が限られており、公立・自治体病院が多くを担っております。しかし、西播磨や但馬地域、中播磨の神崎郡では決して十分とは言えません。また、小さな市町での病院経営は大きな住民負担ともなっています。
医療・診療提供や医師・看護師の確保等については健康福祉部でお尋ねをいたしました。ここでは、小さな市町での病院経営にかかる大きな住民負担についてお尋ねいたします。平成23年度の決算から各市町の一般会計から交付税措置額を引いた実質的な住民負担の額は、神河町では2億54百万円、ちなみに国勢調査による人口は13,077人、1人当たり約2万円です。宍粟市では、99百万円、43,302人、相生市は、49百万円、32,475人、加西市は、1億63百万円、49,396人、香美町は、1億91百万円、21,439人、新温泉町では2億13百万円、17,467人で、交付税措置率も21市町・組合立病院で25.6~110.1%、県全体で53.5%となっています。また、平成19年度比の交付税措置率は110.9~209.5%、県全体で140.7%となっています。交付税措置には病院建設費の償還分に対するもの、近年の医師・看護師確保に対する特別交付税措置など、一定の配慮が行われていますが、それでも大きな住民負担となっています。
そこで、民間等の医療資源が限られており、市町で病院設置をせざるを得ない小規模自治体に対する地方交付税措置の拡充などの財政支援についてのお考えをお伺いします。
答弁(荒木部長)
県内には41市町ありますけども、市立病院・町立病院を設置しておりますのは19市3町です。半分以上は設置されておられます。また県内には民間病院あわせまして65,000程度のベッド数がありますけども市立・町立病院で8,000ぐらい病床を持っていますので、8分の1。このように市町立病院は県民の医療を支えていただいているものと考えています。
市町立病院を考えました場合に2つの病院に分かれるんじゃないかと思います。ご紹介がありましたように、市立病院ですとか、但馬の豊岡病院、八鹿病院のように、だいたい全ての診療科が揃っていて、それから臨床研修医の受け入れ指定がされている総合病院。それから議員のご出身の神河町、香美町、新温泉町のように、ベッド数が200未満で診療科も少ない病院、といったこのような2つに大きく分かれるというふうに思います。
とりわけ公立病院、非常に採算性が悪いんですけども、ご紹介のありましたように町立病院なんかを考えてみますと、診療科が少ないものですからお医者さんが来ません。お医者さんを確保するために色々なかたちで手当を増額されたりして費用が嵩んでいます。また一方、診療科目は高度医療を担っていませんので診療報酬が高くありません。従いまして赤字になっていて経営が非常に厳しい、という状況にあります。非常にご苦労されているのだろうと思います。
そうした中で、今ご照会ありました交付税措置につきましては21年度から大きく増えてまいりましたが、病院に対する繰出金が神河町ですと、標準財政規模の10%と非常に経営にご苦労があるんだろうと私も理解をしています。
そうした中で医師の確保につきましては、健康福祉部の方でへき地医療ですとか、県立病院からの医師派遣というかたちで努力をさせていただいております。経営面におきましては交付税措置を上げていくことが一番だというふうに思います。私も病院事業に1年間従事させていただきましたが、一つには決算との乖離がありますので、決算分析をした上で、合理的に交付税措置が出されるように対応していきます。
それからさらに、例えば150床未満の病床で近くの病院が15㎞離れてる場合だけに不採算病院と言われていますけども、150床未満・15㎞という基準だけで良いのかというと決してそうではありません。そのようなことにつきまして改善をしていきたいというかたちで要望は繰り返しています。市町の方々からも実態をお聞かせをいただいて、また、幸いにいたしまして私どもは病院を14病院持っていますので、お互い知恵が出るところがあろうかと思いますので、そういった情報提供することによりまして交付税措置を上げまして、いわゆる不採算地域の医療が確保できるよう努めてまいりたいと考えています。
3.フェニックス共済の推進について
フェニックス共済は、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、全国に先駆けて住宅再建共済制度を平成17年9月からスタートし、その内容・特色として、1.小さな負担(年5千円)で、大きな安心(住宅の再建に600万円)を確保。2.住宅の規模・構造や老朽度に関係なく、定額の負担で定額の給付。3.異常な自然現象により生じる、あらゆる自然災害を対象。(例)暴風、豪雨、豪雪、洪水、高潮、地震、津波、噴火 等 4.財産の損失補てんの考え方にもとづく損害保険制度(地震保険など)と異なり、被災後の住宅の再建を支援する仕組み。(地震保険等との併用可)と非常に有利な制度だと考えます。
しかし、当初の加入目標の15%には達せず、平成23年度末で住宅共済が8.5%、家財共済が1.9%と遠く目標には及びません。また、住宅再建共済制度加入促進本部は平成23年度に廃止をされました。
しかし、その23年度の共済制度の加入促進活動は、21・22年度と比較をすると推進会議構成団体への多様な働きかけや、マンション共用部分再建共済制度の加入促進を県民局でマンションローラー作戦を行ったり、取りまとめ団体を通じた加入促進、郵便局・共済団体等との協調した啓発、フェニックス共済加入促進員を14名から延べ24人に増員して戸建・賃貸住宅等175,050戸、マンション 1,157棟、団体等については 9,820団体を訪問するなど今までにない取り組みが展開され、住宅共済10,272戸、家財共済5,387戸の加入が図られています。一方、それらに要した費用は決算額150,772千円であり、それは住宅共済掛け金5千円の30,100戸に相当します。単純にこのようなことで費用対効果を論じるつもりはありませんが、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえ、全国に先駆けて作られた私は兵庫県の大きな誇れる住宅再建共済制度と思っています。
そこで、今後の方針についてお伺いします。
答弁(亀井復興支援課長)
直近の住宅共済の加入率は、平成24年9月末現在で8.7%である。
加入率が伸びない理由は、①自分の家は大丈夫であると思っている方が多いこと、②制度の有効性の認識が低いこと、③震災の教訓である助け合いの制度であると理解されていないこと等が考えられる。
このため、平成24年度には、備えることの大切さや共済制度の有効性などについて、地域に根ざした普及啓発活動を重点的に行うこととし、新たに自治会や婦人会役員などのボランティアによる「フェニックス共済推進員」を配置するほか、関係団体や企業等が加入申込みをとりまとめた場合の加入報奨金の増額(100円から300円に変更)などを実施している。
今後は、こうした地域に根ざしたきめ細かい取り組みの充実を図るとともに、支援金の給付があった方の声の紹介、台風到来時期や1月17日のひょうご安全の日の前後など県民が防災に関心を高める時期に重点広報期間を設定するなど、効果的な加入促進活動の展開に努めていく。
県土整備部
1.合併支援道路の平成23年度末進捗状況と26年度までの達成見込み、並びに今後の方針について
合併支援道路は、「新市町内の公共施設等の拠点を連絡する道路などについて、短期間で整備が図られるよう優先採択・重点投資を行うことにより、合併市町村の一体化の促進を図る。」ことを目的として、本県では平成17年度に合併支援道路整備事業計画を策定し、整備を進めているところですが、平成23年度末の進捗状況と今後の方針についてお尋ねいたします。また、ここからは地元ネタになりますが、合併支援道路と一体的に整備されている神河町の県道岩屋生野線の越知谷小学校以北と、加美宍粟線の山田・中村区域の今後の整備方針についてもお尋ねします。
答弁(大住道路街路課長)
合併支援道路については、合併した市町において、旧役場間の時間短縮や公共施設のサービス圏拡大など新しいまちづくりの支援を目的として、県下で、平成17年度から10年間で総事業費1,470億円、総延長200㎞の現道拡幅やバイパスを整備する計画を策定し、取り組んできた。
平成23年度末の進捗は、県道長谷市川線のバイパスが供用するなど、事業費で72%、延長113㎞の整備を終えている。また、計画の10年目となる平成26年度末までには、事業費で約80%、県道岩屋生野線など延長約130㎞が完了する見込みである。
一方、残る約70kmの未整備箇所については、社会基盤整備プログラムの見直しの中で、地域の実情を踏まえ、コスト縮減にも配慮した効率的な事業計画について検討を進め、優先度の高い箇所を選定して、順次整備を進めていく。
お尋ねのあった県道岩屋生野線の越知谷小学校以北については、これまで、防災点検結果を踏まえて6箇所の対策を終え、現在1箇所の事業を進めており、今後も危険度等を考慮して取り組んでいく。また、現在事業中の県道加美宍粟線の山田・中村地区の歩道整備については、引き続き、地域の協力を得ながら早期完了を目指して整備を進めていく。
今後とも、地域の実情を踏まえた選択と集中を進めるとともに、事業中工区のより一層の推進を図り、効率的・効果的な道路整備に努めていく。
2.社会基盤整備プログラム(平成20年度~30年度)の23年度末進捗状況について
県では、投資事業評価システムとあわせて、社会基盤整備の実施過程の透明性を確保するため、各地域(県民局)ごとに「社会基盤整備の基本方針・プログラム」を策定し、「地域ビジョン」に示す地域の将来像の実現に向けて、効率的・計画的な社会基盤整備を進めてきました。そして、 新行財政構造改革推進方策の下、限られた財源の中で、一層の選択と集中による効率的、効果的な社会基盤整備を進めるため、現計画内容を見直し、平成20年12月に新たな「社会基盤整備プログラム(平成20~30年度)」として改訂されました。その時の見直しは、経済情勢の変化からくる見直しと進度調整に重きがあったように私は捉えています。
道路整備に限って述べますが、私は次のプログラムの見直しは、さらに現実的な整備プログラムとする必要があるのではないかと考えます。例えば、中山間地の生活道路の役割が強い県道整備については、全線を2車線歩道付きにすることが望ましいことですが、地形的に制限がある区間や民家の移転を伴うような区間については、後に回してでも整備区間を延伸するなどの方針です。このような具体的な整備その上で市町や関係自治会との意見交換を図ること会がこの1年半の間に必要ではないかと考えます。この点について県のお考えをお尋ねいたします。
答弁(浜田部長)
道路などの社会基盤については、社会基盤整備プログラムに基づき、効率的・効果的に整備を進めている。
プログラムの平成23年度末の進捗状況は、平成25年度末までの前期着手514箇所のうち321箇所に着手し、前期完了667箇所のうち377箇所が完了し、着手・完了とも進捗率は6割程度であるが、限られた財源の中、事業効果を発揮させるため、継続事業に集中投資し、早期完了をめざす。
次に、お尋ねの、プログラムの見直しにおける生活に密着した道路整備の考え方は、地域の課題やニーズを踏まえた上で、①交差点などネック箇所の先行整備、②地形的な制約を踏まえた工区の分割による段階的な整備、③歩行者の数に応じて歩道に代わる幅広路肩の採用など、実態にあった事業計画へ見直しを進め、地元や市町と協議を行っていく。
また、この4月に制定した条例による県独自基準を活用し、人家が連坦するなど即効対策も困難な箇所について、1車線整備など地域の実情を踏まえた小規模な計画に見直し、用地買収等で地元や市町の協力を得ることにより、事業に着手できるような整備方策を検討し、優先度の高い箇所からプログラムに反映していく。
今後とも、事業の効率化を進めるとともに、地域の理解と協力のもと、社会基盤の整備を着実に推進していく。
3.明らかに地域間格差が生じているとみられる社会基盤整備について
具体的に路線名を言いますが、おそらく県下において私が指摘する路線以外でも同じようなところがあるのではないかと思います。
主要地方道西脇八千代市川線の市川町保喜区~下牛尾区間です。県道甘地福崎線の市川町部分です。また私が言うのはおこがましいですが、一般質問で春名議員がおっしゃっていた加美宍粟線の一宮でも同じことが言えるのではないかと思います。
西脇八千代市川線は、船坂トンネルが整備されてから飾磨港から多可町、丹波市へ、木材チップを運搬する大型トラックが多く走行するのをはじめ、非常に危険を感じる道路状態です。先日も、地元区長さんをはじめとする役員さん、町会議員さん、市川町役場担当課長、県土木福崎事業所長、そして私と現地立会をしていましたが、目の前でその大型トラックと対向の車が行き交うことができず急ブレーキを踏む場面が幾度もありました。
しかし、当路線は道路の両側に民家が連担しており、現道の拡幅整備には多額の費用を要します。もちろん地元の意思決定が必要ですが、ほ場整備と合わせたバイパス整備、岡部川東側の町道を利用したバイパス整備など、具体的な整備方針が必要です。
甘地福崎線は、JR播但線と市川に挟まれた地形的な制限があります。しかし、全線ではありませんので、制限を受けない部分をまず拡幅改良するなどの方針が必要です。この点について、県当局のお考えをお尋ねいたします。
答弁(大住道路街路課長)
地方部では日常の移動手段を自動車に依存することが多く、西脇八千代市川線や加美宍粟線のような日常生活を支える道路の整備は、地域のニーズが高い。
このため、西脇八千代市川線では、これまで大型車の離合が困難な下牛尾地区で路肩の拡幅を行ったほか、小・中学校があり通学路となっている上瀬加地区では、来年度からの歩道整備事業の着手に向け、地元調整等の準備を進めている。
下牛尾地区と保喜地区の間は、当面、優先度の高い通学路の歩道整備などを進めるが、ご提案のほ場整備や町道を活用したバイパス整備については、これまで県道長谷市川線の沢バイパスなどで実施してきたように県道整備の有効な手法と考えられるため、ほ場整備の動向等をみながら、今後の検討課題としたい。
また、県道甘地福崎線の甘地地区は、市川とJR播但線に挟まれ地形的な制約により抜本的な改築が困難なことから、農地が隣接するなど容易に拡幅が可能な箇所から待避所設置を行う。
今後とも、地域の課題やニーズにきめ細かに対応し、地元や市町の理解と協力を得ながら、安全で安心な道路の整備に取り組んでいく。
4.緊急防災・減災対策事業について
(1)緊急防災・減災対策事業は、東日本大震災の復興増税を財源としたもので、津波対策、地震対策、風水害対策として、平成23年度の補正と24年度予算の一般会計と流域下水道事業特別会計を合わせて総事業費184億1千万円が計上されています。マスコミで連日復興財源の使途についての報道が賑わせていますが、県土整備部の事業として、復興財源の主旨に適した執行がなされているのか、まず、お伺いします。
(1) 答弁(古川県土企画局長)
全国向けの緊急防災・減災対策事業については、昨年6月に施行された東日本大震災復興基本法に基づく「復興の基本方針」において、「東日本大震災を教訓として、全国的に緊急に実施する必要性が高く、即効性のある防災、減災等のための施策」を実施すると位置づけられた。また、その財源は、同法に基づく復興財源確保法などにおいて、臨時増税等によりまかなうこととされている。
県土整備部では、この主旨に基づき、発生が懸念される南海トラフ地震や、度重なる台風災害に備えるための地震・津波対策、風水害対策のうち、県民の安全・安心の確保を図るため、極めて緊急性が高く、即効性が期待できる事業に箇所付けした。
具体的に、地震対策については、緊急輸送路上の橋梁や下水道施設の耐震補強等、津波対策については、防潮堤等の整備や排水機場の機械・電気設備の耐水化等、風水害対策については、河川の局所的な越水対策や道路への土砂流出対策等を選定した。
これらの事業は、いずれも緊急防災・減災対策事業の主旨に沿ったものであり、対象事業として適正なものである。
(2)私は、特に風水害対策として実施されている「地域の河川緊急改善事業」については画期的な取り組みだと思っており、地元の人たちとともに喜んでいます。従来から中上流域における河川改修までとは言わないが、洗掘、土砂の堆積等々、事前に災害に備える小規模な対策事業ができないかと思っていました。それだけに本当に喜んでいます。そこで、県下における地域の河川緊急改善事業の実施と今後の取り組みについてお尋ねいたします。
(2)答弁(田中土木局長)
地域の河川緊急改善事業は、災害に備えて、地域の課題やニーズに機動的かつ細やかに対応するために創設した事業で、既設護岸の補強や狭窄部の河積拡大、防水壁の設置による護岸の嵩上げ等の対策を実施するものである。これまでに護岸補強や河道内樹木の伐採など52河川、67箇所で着手しており、残りについても、増水期の終わる11月以降順次着手し、今年度内に県下124河川、188箇所の全箇所を完成させる予定である。
神崎郡においては、福崎町田口地区の七種川において、湾曲部の深掘れ対策として、護岸を補強する袋詰め玉石工を5月末までに実施した他、神河町山田地区の越知川において、7月迄に狭窄部約300mの河積拡大を実施し、併せて河道内樹木の伐採等を行ったところである。また今後、市川町下牛尾地区の岡部川や神河町栗地区の市川等で、溢水防止のための既設護岸の嵩上げなどを実施する予定である。
本事業は、復興増税を財源として平成23年度から24年度の2ヶ年で緊急的に取り組んでいる事業であり、平成25年度以降については、引き続き、事前に災害に備えるという本事業の主旨を活かし、地域の実情を的確に把握しながら、効果的な対策を順次実施して、地域の安全・安心の確保に努めていく。
5.播但連絡有料道路の利便性の向上について
(1)播但連絡有料自動車道は、昭和41年11月1日に砥堀・福崎間が供用開始しに始まり、平成12年5月27日に姫路市花田から和田山までの全線が供用開始いたしました。そこでまず、播但連絡有料道路の経営状況についてお尋ねいたします。
(1)答弁(伊藤高速道路室長)
播但連絡道路の平成23年度の収支状況については、道路公社の自主財源での社会実験割引継続による減収のなか、除草面積・回数の削減などの支出抑制に取り組み、約14億円の償還準備金を積み立てることができた。その結果、償還必要額1,818億円に対し、平成23年度末の償還準備金の累計は673億円となり、どうにか第2次行革プラン並みを確保することができた。
しかし、現在、未だに1,000億円を超える未償還額があり、料金徴収期間満了時(平成44年10月)においても、第2次行革プランでは未償還額が463億円となっている。
更に、第2次行革プラン策定後、社会実験割引を平成25年度まで延長したこと、県貸付金を公社債に切り替えたこと等により、未償還額は更に増加する見込みとなっており、経営状況は極めて厳しい状況である。
(2)次に、平成19年10月1日の第292回兵庫県議会の一般質問で、藤本正昭議員が播但連絡有料道路の利便性の向上、ETCの整備充実について質問されました。当時の井上俊廣県土整備部長の答弁は、「残る料金所への無線ETCゲートの整備につきましては、交通量が少なく設置や管理に多大な費用を要するため、今後のETCの利用状況を見ながらの検討とさせていただきたいと考えております。」でありました。
また、9月7日の中播磨地域づくり懇話会では、市川町長より知事に対して「ETCよりも無料化」の要望が出されました。
ETC搭載車は、現在かなりの率となっています。井上部長の答弁では「今後のETCの利用状況を見ながらの検討」でありました。また、播但道沿線の住民、特に神崎郡の人間は但馬地域とのつながりも強く、北近畿豊岡自動車道や整備中の鳥取豊岡宮津道の無料通行や、福崎北料金所以北のETCレーン設置がなされないこと、同じでないことに対して大きな不満を持っています。もちろん、道路管理者が異なる、あるいは、山陰・但馬地域の振興を図ることには理解をいたしますが、管理者の違いで住民サービスの提供に差があることに対しては納得がいきません。また、現在、社会実験で通行料金が割引サービスされていますがその割引サービスの今後についても心配をするところです。
私は、現実的にはETCをどうするのか、割引サービスがどうなるのか、そのうえで無料化は実現できるのかと考えるわけですが、当局のご所見をお伺いします。
(2)答弁(伊藤高速道路室長)
播但連絡道路、北近畿豊岡自動車道及び鳥取豊岡宮津自動車道は、ともに昭和40年代から幹線道路として位置づけられ、計画・整備が進められてきた。その中で、播但連絡道路は有料道路制度を採用することにより、他路線に比べ早期整備が可能となり、昭和48年砥堀・福崎区間の供用開始を皮切りに平成12年の全線供用まで順次整備を進め、地域間の交流促進や産業の振興を支えてきたと考えている。
ETCの全線設置については、①残る8箇所(19レーン)で約20億円の設置費用と、年間約0.6億円の維持管理費が必要なことや、②ETCを設置しても料金収受員を削減するコスト縮減効果が見込めないこと等の課題があり、現時点で新たなETC設置は予定していない。今後のETC設置については、ETC普及率や、各料金所を利用する交通量の状況を見ながら検討していきたい。
平成25年度末までの社会実験後の料金割引については、社会実験の効果、今後のNEXCO路線における料金施策の動向、償還計画への影響等を踏まえ検討することとしている。
なお、播但連絡道路の無料化については、有料道路制度を活用して建設してきた経緯や、未だに1000億円を越える未償還額があることを踏まえ、極めて困難であることをご理解頂きたい。
公安委員会
1.交通指導取締の目的と評価について
私は、県庁まで車を使用しておりその距離は、往復約170kmです。平均月3,000km走ります。その中で感じる事、または多くの方々の声、本年の交通事故について次のように思っています。
一つは、交通死亡事故が全国的に減少している中で、私の地元福崎署管内をはじめ、県内の死亡事故が前年を上回っていること。二つに、厳罰化で飲酒運転が減っていたものが、また増えているのではないかということです。
平成23年中の交通違反取締り状況は、道路交通法違反の非反則行為、いわゆる赤切符は18,636件、反則行為、いわゆる青切符と、シートベルト着用違反などの点数のみの違反を合わせた件数は448,081件、関係法令違反858件で 計467,575件、これに放置車両確認標章取付件数90,490件を加えて、総合計558,065件と、大変多くの取締指導がなされています。この内、速度・過積載・信号無視・通行区分・踏切不停止・歩行者妨害・整備不良・通行禁止・一時不停止・携帯電話使用・駐停車について平成20~23年の推移を見ますと、年によって多少の増減はありますが殆ど変わっていません。その中でも、シートベルトの取締り件数が毎年減少している状況を、ベルトの装着率が向上したと考えるならば、取締りに一定の効果が見られたのではないかと思います。そこで、改めて交通指導取締の目的とその評価についてお尋ねいたします。
答弁(森本交通部長)
交通指導取締りは、交通の安全と秩序を維持し、円滑な交通環境を実現するため、交通安全活動に対する指導や教育、安全施設整備等と並び、不可欠な交通警察活動であり、その活動に当たっては、違反行為の未然防止に努めるとともに、交通流・量の変化、交通事故発生状況、交通取締りに対する県民の要望等を踏まえまして、悪質性・危険性・迷惑性の高い違反に重点を置いた取締りを推進しております。
交通死亡事故の原因となる交通違反を見ますと、前方不注視などの安全運転義務違反や速度超過、歩行者妨害、信号無視など、いわゆる反則行為を含む基本的な違反によるものがその殆どを占めております。
また、大学の調査研究によりますと、取締件数が増加している時期には人身事故件数が減少をし、逆に取締件数が減少している時期には人身事故件数が増加するという強い逆相関関係が認められることからも、交通事故を防止するためには、交通指導取締りは重要かつ不可欠であるというふうに考えております。
本年8月末現在、交通事故死者数は110人で、昨年同期と比べて17人減少しておりましたが、9月以降増加傾向にあり、減少幅が縮小しております。更に年末に向け増加が懸念されますので、引き続き交通指導取締りを強化して参ります。
<要望>
取締中には事故が減少しているというふうなお話しがありました。
昨日も少しお話しをしていた時にですね、いわゆる私は交通指導の目的は取り締まることが本来の目的ではなくって、啓蒙啓発、意識の高揚が主目的ではないかなというふうに思っとったんですが、その時に今の話ではないですが、威嚇ということも一つの目的と入っておるというふうにお伺いを致しました。
なるほど人間弱いものですから、威嚇があればそういうことも強化になるかとは思うんですが、しかし実際は、個々のですね、意識が高揚せん限りですね、特に飲酒運転のようなものも減っていかないんではないかなというふうに思う訳です。
そういう意味で取締りは取締りとして、あくまでも意識の高揚啓発に繋がるような、ことで望んでいただきたいというふうに思います。
2.道路交通規制と取り締まりについて
私は自宅を出ますと、主要地方道加美宍粟線、播但連絡道路で神崎南から福崎北、中国自動車道で福崎から吉川、国道428号線、新神戸トンネル、神戸山手幹線と走ってきます。
これから述べることはあくまでも主観でありますが、加美宍粟線は2車線歩道付の改良済、しかもバイパスですので殆ど民家などがありません。制限速度は時速50kmですが、朝の出勤時は殆どの車両が70・80kmを超えているのではないかと思います。余談になりますが、私はいつも県庁には余裕をもって定刻の1時間以上は早く登庁するようにしていますので、運転にも余裕は持っています。
播但自動車道は福崎まで対面通行各1車線ですので制限速度は60kmです。ここでは80・90kmほどではないかと思います。
中国自動車道の制限速度は、80kmです。7割が100kmかそれ以上だと思います。
国道428号線は、吉川から神戸市淡河まで2車線歩道付き、一部歩道のない区間もありますが制限速度は50km、ここは50~60km程と思います。淡河から県道8号線の合流点までは2車線で大部分に歩道がありませんが路側帯は結構あって制限速度は40kmです。ここは40~50kmです。新神戸トンネルまでは歩道がありますが、そこは狭小で路側帯にも余裕がありませんので制限速度は40km、ここもまずまず遵守されていると思います。
新神戸トンネルは60km制限ですが、殆どの車が90km以上ではないかと思います。山手幹線については省略します。
繰りかえしますが、あくまでも主観であります。そして、速度取締指導を受けた方々を見ますが、違反をしたので指導を受けるのは当然とはいえ、気の毒だなーとも思うのが428号線北区山田町新池のところです。もう1か所は、国道312号線市川町北側の播但道と交差するところです。制限速度は40kmですが、市川町役場付近は2車線両側歩道付、その両側歩道から片側歩道に変わったところで、これらが本来の指導、交通安全の啓蒙・啓発に繋がっているのだろうかと思います。3月の予算委員会総括で、構造的に要件を満たしていない自転車通行可の歩道についても質問をいたしました。
そこで、適切に、県民が納得し得る交通規制と速度取締指導についてお伺いします。
答弁(森本交通部長)
交通規制は、交通の安全と円滑の確保を目的に行っておりますが、交通事故の状況、地域住民等の意見等を踏まえまして、順次見直しを図っているところでございます。
最高速度につきましては、警察庁の示す基準に基づきまして、交通量、実勢速度、車線数、歩道の有無などを調査分析を致しまして、安全が確保できる場合は速度の引上げを、通学路など生活道路においては速度の引下げを実施しており、これまでにも、阪神高速道路7号北神戸線や六甲北有料道路等の見直しを行ってきたところでございます。
平成23年中の交通事故実態を見てみますと、交通事故死者数198人のうち、速度超過が原因となった事故死者は27人で、全体の13.6%を占めており、本年8月末でも15.5%を占めるなど、違反別の事故原因としては安全運転義務違反に次いで高いということから、速度違反取締りは必要不可欠なものと考えております。また、速度違反の取締り場所につきましては、都市部や郡部、単路や複路、或いは40キロや50キロという速度規制に関わらず、交通事故の発生状況でありますとか、住民の要望等を踏まえ様々な場所で取締りを行っております。
今後も引き続き、交通の安全と秩序を維持し、円滑な交通環境を実現するため、より合理的な規制と、交通指導取締りの強化を図って参りたいと考えております。
なお、3月の予算特別委員会総括でのご質問につきましては引き続き、道路管理者等の関係機関と連携を致しまして、自転車利用者が安心して走行出来る良好な自転車交通環境の整備にも、現在も取り組んでいるところでございます。
<意見>
阪神高速の山手線の60キロ制限の一部解除もですね、私もよく分かっておりますので、その様に常に見直しをして頂いているということも、十分承知を致しております。
それから、また、速度超過がですね、ほんとに交通事故の大きな原因になっているということもですねよく理解を致しております。
それで60キロとか80キロ制限の所を超過をして走っているのは、本当に取締りして当然だと思うのですが、先程言いました様な、本当に40キロ制限の所で、それもですね、本当に狭小な部分なら良いんですが、一定路側帯があるとか、そういう、通行人もいない、そういう様な所で取締りをされているのを見た時に、そういうふうに多くの方々がですね、捕まってですね、取締りを受けて、本当に改心をして次の交通安全に繋がっていくんかなというふうな率直な疑問がありましたのでお尋ねを致しました。
3.サイバー犯罪捜査について
今年の3月にサイバー犯罪対策課が生活安全部に設置され、先日も活動ぶりがテレビ放映されていました。適切な時期での設置だと思ったわけですが、すぐその後に、「犯罪予告メールを送信したなどとして、大阪府警と三重県警にそれぞれ威力業務妨害容疑で逮捕された男性2人のパソコンが、「遠隔操作型ウイルス」とみられるウイルスに感染していたことがわかった。」との報道がありました。
そこで、40人態勢でのスタートということですが、人員・スタッフはもちろんのこととして、パソコンなどの機材の現段階の整備状況、これから必要なこと、さらには、サイバー空間を取り巻く犯罪状況、それらに対する対応状況についてお尋ねいたします。
答弁(倉田本部長)
県警では、本年3月、約40人体制のサイバー犯罪対策課を新設をいたしましたほか、昨年10月には、警察の総合力を発揮した対策を推進するため、「サイバー犯罪等対策委員会」を設置をいたしまして、取締りと予防抑止対策の強化を図っているところでございます。資機材につきましては、本年度予算におきまして、捜査用のインターネット・解析パソコン、これを県下全警察署など関係所属に配置することとなっております。しかし、インターネットの進展とスマートフォン等の急速な普及により、解析などの捜査も増加の一途を辿っておりますことから、今後とも所要の資機材の整備に配意してまいる所存でございます。
一方、サイバー空間では依然として、違法・有害情報が蔓延をしておりまして、また最近ではオンラインショッピングを舞台とした不正アクセス・詐欺事件等も多発の傾向にありますほか、ただいまご指摘がありましたように「遠隔操作型ウイルス」を使用した事犯も見られるなど、誠に憂慮すべき状況でございます。
県警察といたしましては、これに対応するため、個々の事件捜査を緻密かつ適正に進めますとともに、常に新しい捜査手法、また、解析技術の開発を行いながら、初動措置を徹底して検挙に努めていく方針でございます。
また、予防対策といたしましては、「兵庫県サイバー犯罪防犯センター」これを昨年9月から動かしておりまして、中・高校生等を対象に、これまで90回、約27,000人に対して防犯教室を開催するなどの施策を行っているところでございます。
今後も、官民が一体となってサイバー空間の実態を正確に把握をし、県民が期待する犯罪の検挙に努めますとともに、県民が犯罪被害に遭わないために、取締りで得た新たな犯罪手法については、その対策とともに情報発信を行い、さらなる予防対策を講じていく所存でございます。
4.重要凶悪事犯の未解決案件について
私が記憶に残る事件として平成19年の加古川市における小学生女児殺人事件を思い出します。自宅の前で起きた事件ですので、それだけに親御さんをはじめ家族の方々の心中を察すれば、胸に詰まる思いがいたします。必ず事件の解決を図っていただきたいと思うところです。
この件以外にも重要凶悪事犯の未解決事件がたくさんあるのではないかと思いますが、その状況と解決に向けた見込みと決意を聞かせてください。
(今村刑事部長)
殺人等の重要凶悪犯罪について、県民が最も望むことは、犯人を検挙して、事件の真相を明らかにすることであり、そうした期待に応えていくことが、警察に課せられた重要な使命であると認識しております。
県下におきましては、委員ご指摘の「加古川市における小学生女児殺人事件」のほか、いくつかの重要事件が未解決となっていることから、懸命の捜査を継続しているところであります。
具体的には、事件を風化させることがないように、チラシの配布、県警ホームページ等により広く情報提供を呼びかけているほか、聞込み捜査や未解決専従捜査班の投入によるこれまでに収集した情報や証拠の精査等を実施しております。
県警察といたしましては、それぞれの事件の被害者の無念、ご家族の悲しみ、周辺住民の不安に思いをいたし、一日でも早く犯人を検挙し、事件の真相を明らかにするための捜査を続けてまいる所存であります。
<意見>
本当に大変な中で捜査を行って頂いているという風に思っております。
これからも力を入れ、最大限頑張って頂きたいとお願い致します。
5.定数および人員配置について
定数を大きく下回っていることは承知をいたしています。また、この後自民党の伊藤さんが質問されるようですので、私は一点について、質問を言っておきたいと思います。
県下の死亡事故やまた飲酒運転が後を絶たないこと、未解決事件がまだまだあることは、人員不足が原因となっていないか、サイバー対策もますます複雑・高度化することに対して十分に対応できるかお伺いいたします。
答弁(花岡警務部長)
ここ数年、定員に対し欠員が生じている現状にございますが、日々発生いたします事件事故、とりわけ警察力の重点的な投入が必要な未解決事件を含めた重要凶悪事件や交通死亡事故等の対応に齟齬を生じさせないために、県警察におきましては、
○ パトカーや捜査用車両の増配による機動力の確保
○ 各ブロックの警察署で編成する「初動捜査支援班」の運用
○ 交番相談員や駐車監視員の運用
○ 機動パトロール隊など本部執行隊による警察署の支援
○ 大規模雑踏警戒現場への機動隊や管区機動隊の派遣
○ 必要に応じた勤務制の変更による要員の確保
などを行い、その補完を図って参りました。
しかしながら、これらの取組をもってしても、欠員状態による第一線現場への負担が生じていることは否めないところでございま す。
県警察といたしましては、欠員の解消を重要な課題として捉え、今後は、採用試験における資質の見極めに配意しつつ、
○ マスメディアを始めとした各種広報媒体の積極活用
○ 大学、高校等の就職担当者との緊密な連携
○ 女性警察官の採用拡大
○ 採用状況に応じた臨時採用試験の検討
など、採用拡大に向けて知恵を絞り、実効ある施策に組織を挙げて取り組み、欠員状態の早期解消に取り組んで参ります。
農政環境部
1.営農組合の法人化について
(1) 営農組合の現状認識について
営農組合の平成23年度末の組織化は997集落でしたが、平成23年度目標1,020集落を若干に下回り、近年伸びは鈍化傾向と聞くが、その原因なりの現状認識をお尋ねします。併せて平成32年度の最終目標1,500集落の見込みについてもお願いします。
(1)答弁(天野農業経営課長)
集落営農の組織化が進まない原因としては、①強いリーダーシップを持ち、粘り強く集落をまとめるリーダーとなる「人材の不足」、②地域・集落の将来に対する危機感が共有できないことによる集落内での話し合いの「機会の不足」、③集落内関係者の合意形成にかかる手間や調整過程で生じる対立への懸念を払拭するほどの「組織化インセンティブの不足」が考えられる。
「人材の不足」への対応としては、各市町単位で実施する集落営農活性化塾によりリーダー育成を推進してきたほか、集落営農育成員が未組織集落を対象に、先行事例におけるノウハウを活用した個別指導等を行ってきた。
今後は、「機会の不足」、「組織化インセンティブの不足」への対応を強化するため、本年度から新たにスタートした「人・農地プラン」事業の活用を通じて、地域を将来にわたり担う中心となる経営体の選定や農地集積協力金の活用などについて、集落の話し合いを促進するとともに、国、県、市町等関係機関の連携によるフォローアップを図り、「農林水産ビジョン」に掲げた平成32年で、1,500集落の目標達成に向けて組織化を着実に進めて参りたい。
(2) 法人化数について
次に、平成23年度末の法人化された営農組合の数、及び今後法人化を目指している営農組合の数についてお尋ねいたします。
答弁(天野農業経営課長)
集落営農組織における、平成23年度末の法人化数は、37法人となっている。
また、今後法人化を図る集落営農組織については、ひょうご農林水産ビジョン2020において、①水田・畑作経営所得安定対策に加入し、今後法人化することを予定している組織(188組織)と、②同対策の実施期間後に設立され、法人化すると見込まれる組織(40組織)を加え、合計約230法人に登るものと見込んでいる。
(3) 法人化された組合の特色等について
営農組合の法人化は、経営における意思決定のスピードと責任の所在の明確化により経営の安定化につながると考えますが、それ以外のメリットがあれば教えていただきたい。できれば法人化された各組合の特色と経営の現状について教えていただきたい。
答弁(伊藤部長)
集落営農法人化のメリットとしては、委員ご指摘の内容に加え、①社会的信用力の向上による必要な資金調達の有利性や②取引信用力向上による販路の拡大、さらに、③営農組合自体が認定農業者となることで補助事業等の支援制度の活用が図れることなどのメリットがあげられる。
法人化した事例については、①佐用町の東徳久地区農事組合法人では、スーパーL資金の無利子化支援措置を活用して、新規就農者育成のための研修施設の整備に取り組んでいる。②たつの市の㈱ささ営農では、法人化の際に、国の経営構造対策事業を活用し、乗用管理機等の営農機械を導入した。③淡路市の㈱五斗長営農では法人化を契機に集落営農法人化等緊急整備推進事業を活用し、玉ねぎの栽培面積拡大のための大型トラクタやたまねぎ堀取機などを導入した。
集落営農の法人化には、営農組合の組合員の合意や法人設立手続きの必要があり、法人化が進んでいない状況にあるが、経営発展のためには、法人化メリットの活用が有効であることから、今後とも具体的な事例を示すなど、集落営農組織の法人化促進に向けた取組を進めて参りたい。
2.担い手育成・新規就農について
(1) 新規就農者の継続・定着状況について
新規就農者の数は、平成21年度180人、内雇用就農者数は、60人、平成22年度は、それぞれ187人、55人、平成23年度は、193人、34人となっているが、継続・定着状況はどうなっているかお尋ねいたします。
答弁(1)(天野農業経営課長)
新規就農者の本年3月末における定着状況について、平成21~23年度の新規就農者560人を対象に調査を行ったところ、回答のあった471人のうち、8割にあたる377人が継続・定着していることが分かった。
(2) 人・農地プランの策定状況等について
新規就農者の増加要因(推測)として、①青年就農給付金の魅力による就農喚起(独立就農の前倒し)、②農の雇用事業の拡大による雇用就農の大幅増、③就農スタートアップ支援事業の創設等による就農の踏切り易さの向上。が、あげられているが、市町の「人・農地プラン」策定状況についてお尋ねします。併せて、平成24年度新規の就農スタートアップ支援事業の取組状況についてお尋ねします。
答弁(天野農業経営課長)
「人・農地プラン」については、県が本年1月、県、市町、JA、農業委員会等による4者会議を推進体制として整備し、県民局毎にモデル市町・モデル集落を設けた上で、機会あるごとに集落座談会への参加、農地集積への助言、プラン原案策定への助言等を行ってきたところである。
この結果、近畿で初となるプランが4月27日に加西市の網引町で策定され、以来9月末現在までに10市町44地区のプランが策定されている。これらについては、新規就農者の育成や担い手への農地集積、農地の高度利用など各々の地域の実情を踏まえ将来を見据えたプランとして策定されていると考えている。
今後は、これまでの事例を生かしながら研修会の開催や末端農家・集落への働きかけを強化するため、各農業団体と県、市町、JA、農業委員会等がより一体となった推進に取り組むことで、より多くの地域で人・農地プランの策定の取組が加速するよう進めて行く。
また、就農スタートアップ支援事業は、毎年300人の新規就農者を確保するためには、農家子弟に比べ、地域とのつながりが弱く、生活・営農両面における継続的な支援が必要な近年増加傾向にある非農家出身者に、地域の溶け込みや実践的技術、販路確保についてアドバイスする親方農家を紹介、マッチングを図る形でサポートし、定着就農者を増やすことで就農の踏切りを容易にしようとするもので、3度の公募・マッチングを行い、9月末現在で親方農家から56戸、新規就農者から30戸の応募により、結果30件で後見人的応援活動が行われているところである。
3.鳥獣被害の現状認識と対策について
(1) 鳥獣被害の現状認識について
平成23年度の被害額を動物別にみると、シカが4億3600万円で、被害額全体の49%を占め、次いでイノシシが2億5500万円(29%)、アライグマが6700万円(8%)、ヌートリアが2500万円(3%)、サルが900万円(1%)と前年度に比べて9.1%減少したと聞いていますが、各市町の担当者等に聞いてみますと「そのような実感はない」が殆どです。被害額の算定ですが、自家消費用の菜園などは含まれていないと思うのですが、どのようになっているのかお尋ねいたします。(*)一方で、シカ及びイノシシによる被害などでは、山間部で防護柵の設置が進んだり、駆除専任班の取組等で南部に下がってきた、サルについても神河町の追い払いで生野町や朝来町に進出してきた、また、旧南光町の瑠璃寺では水害の関係で餌付けをされていたサルが餌をもらえなくなり、出没しかけた等の効果と被害の拡大がありますが、現状認識についてお尋ねします。
(2) サル被害対策の今後の方針について
サルについては、生息地域が限られており、被害額も1%と少額でありますが、その地域での被害、とりわけ精神的な被害はシカなどの比ではありません。近年は、稲にもつく等エスカレートしています。また、高齢者の生きがいづくりのための家庭菜園への被害は、栽培意欲を削ぎ、ひいては老化や認知症を進めることにもなりかねません。サル監視員の継続と追い払いの機材や有効手段の共有、意見交換などの取組についての今後の方針についてお尋ねいたします。(おじろ用心棒、せんぶり)
(1)答弁(今里自然環境課長)
鳥獣被害額については、農林水産省が毎年全国の鳥獣被害額をとりまとめており、本県では市町に照会し、鳥獣ごと、作物ごとの被害面積と被害額について集落等からの報告に基づき集計している。被害額は、卸売市場や直売所等へ出荷する農産物の被害を集計している。
捕獲拡大や防護柵の設置については、今まで被害の大きかった地域を中心に進めてきているが、いまだ十分な効果が現れていない地域もあると認識している。今後も継続的な捕獲拡大に努める。
サルについては、個体群によっては集落周辺を中心に移動し、農業被害だけでなく、家屋侵入や人への威嚇を行う問題個体も存在することから、農業被害や生活被害の軽減のための捕獲等を進める。なお、追い払い等により、神河町から朝来市への移動が見られるため、本年度、朝来市で20頭、神河町で40頭の捕獲に取り組む。
また、サル用防護柵「おじろ用心棒」の設置を進める。
なお、餌付け群である佐用町瑠璃寺のサルについては、餌付けは続けているが、台風災害により山でのエサが不足しており、一部で農業被害が発生している。このため、町が有害鳥獣駆除による捕獲を予定している。
4.農協との連携強化と指導監督について
農業の再生は、牽いては地域の再生につながると思います。そのためにも、農協との連携強化、本来の農協のあるべき姿に期待するところですが、現状は決してそうとなっていない様に思います。
平成23年度の県産米の流通状況の内、農協取扱量の状況は23%、また農協取扱量の内、農協直売量は、33%であり残りは全農の扱いとなっています。また、平成22年度の県全農協における職員数6,805人の内、営農指導員数は302人で、4.4%でしかありません。
また、平成21年5月に農林水産省がまとめた「農協の現状と課題について」中、担い手農家の農協に対する意識によると農協が取り組むべき事業である必要性と当該事業について農協が取り組んでいる場合の満足度は、次のようになります。
①市場を通じた販売については、必要であるとの回答が80%、満足しているとの回答が29%、②農産物直売所(農協経営)での直接販売については、必要であるとの回答が79%、満足しているとの回答が37%、量販店・生協等(農協扱い)への直接販売については、必要であるとの回答が79%、満足しているとの回答が28%となっています。
そこで、都道府県の区域を超えない区域を地区とする農協、都道府県の区域未満を地区とする農業協同組合連合会については、都道府県が行政庁としての指導・監督を行うことになっていますが、そのことに対する認識と現状、併せて中央会等との連携についてお尋ねいたします。
答弁(北川農政企画局長)
これまで県は、農家組合員へのサービスの充実を図るため、農協に対し、不祥事の未然防止や責任体制の明確化、財務の健全化などの指導・監督を行うとともに、合併を促進するなど農協の経営基盤の確立に努めてきた。
一方、農協に対しては、信用事業偏重による農産物の集荷・販売や営農指導などの農業経営支援について、組合員ニーズに応えられていないとの指摘がある。そのため、県としては、農協経済事業の根幹である営農指導機能の充実強化に向け、営農指導員の確保を指導するとともに、その資質向上を図る研修を県農協中央会と連携して実施するほか、県普及指導員との連携強化にも努めてきた。
また、県農協中央会や全農兵庫県本部と各農協が協議して、農家所得向上を目的とした「もうかる営農プラン推進事業」の実施や米仮渡し金の増額による集荷力の強化、付加価値の高いブランド米の区分集荷、農協の総合力を活用して農業経営を支援する担い手専門担当者TAC(タック)制度の導入など、農業生産力の増強に向けた組合員に対する取り組みも出てきている
今後とも、県普及指導員との連携による営農指導面での強化はもとより、県農協中央会等農協系統組織とも連携して、農協が本来の機能や役割を果たし、農業者の経済的社会的発展と農業生産力の増進を図る役割を発揮するよう、様々な観点から指導する。
2012年12月20日(木) | カテゴリー: 一般質問等 |
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